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ダービー馬シャフリヤール、安田記念馬ダノンキングリーに見る、川田、福永の乗り替わりの謎を解く。
シャフリヤールの毎日杯で何故福永から川田にスイッチしたのか?で、再度福永でダービーとは理解に苦しむ。
— さだぼー@妄想競馬 (@sadabo_keiba) May 31, 2021
シャフリヤールにおける川田から福永へのスイッチ
福永の手綱でダービーを勝ったシャフリヤールだが、前走の毎日杯では、新馬戦、共同通信杯と手綱を取っていた福永に代わり、何故か川田が騎乗してレコード勝ちを収めた。
一方、福永はというと未勝利戦を勝ち上がったばかりだったキャロットFのルペルカーリアに騎乗するという謎の乗り替わりがあった。
そして本番のダービーで福永に戻りダービーを勝つわけだが、ここで前走に続いて川田騎乗ならば、騎手、馬主、調教師、血統全てクリアすることからも、少なくとも私の本命候補にはいたはずである。
問題は、前走で川田がへぐった訳でもないのに本番で福永に戻ったことだ。この乗り替わりが謎が解けなかったので軽視したのだ。
福永も川田も同じブック系のエージェントであり、今やルメールを頂点とした関西のトップ3であることは間違いないが、おそらく種牡馬価値を最大に高めるダービーという舞台で、ノーザンのいわゆる「大きな意思」による乗り替わり、そして結果だったと想像する。
ルメール、福永、川田の2019年以来の成績を賞金ベースで調べてみる
まずはルメールだが、ゴドルフィンとキャピタル・システム以外はほぼ社台グループの馬で、ノーザン系クラブだけでも約43億円ほどの賞金を稼いでいる。細かい事は省いてルメールの取り分はざっと2億円を超えている。
言い方を変えるとルメールは、ノーザン系のクラブ馬に乗せてもらっている事で、この2年半で2億円をノーザンから稼がせてもらっているといっても過言ではないだろう。むろんそういう事でノーザン側からオファーを受けて来日しているのだから当たり前と言えば当たり前だ。
福永、川田の賞金シェアをみてもルメール同様、福永のコントレイルでの賞金を除けばほぼほぼ社台グループ、しかもノーザンに稼がせてもらっている状態である。
ノーザン帝国に生活を支えられている現状
ゆえに社台グループ、ノーザン帝国という「大資本」に生活を支えられている騎手にとっては絶対に逆らえないものであり、逆に言えば、それらの「大きな意思」に沿った働きをしないと、誰かさんのように干されたり、最悪この世界にいられなくなり、今の生活は成り立たなくなるという事だ。
それは資本主義で名成り立っている日本ではこれが大前提であり、我々の日常のビジネス社会と同様に至極当たり前のことである。
ましてやG1ともなると、大資本をバックにしたオーナーブリーダーや、大企業のオーナーである馬主達の思惑が大きく渦巻く。しかしそれは目先のレースの賞金ではない。種牡馬として成功すればシンジケートに何百億という大金が入ってくる。そしてクラブの隆盛につながれば、会員数も増えそれ以上に増収増益が期待できるのだ。
だからこれらの思惑を画策している「大資本の」前には、騎手や調教師などは、ビジネスのシステム上一つの駒に過ぎないという事だ。
そしてそれらはお互いに潰しあいをせず、持ちつ持たれつで中央競馬は成り立っている。なぜならば社台グループにとって、種付けしてくれる他の牧場、馬を買ってくれる他のクラブもビジネスパートナーだからだ。
今年のG1を振り返ると大きな意思が見える
ダービーから安田記念への流れを見ると、ダービーでは川田から謎のスイッチをした福永が勝ち、その代わられた川田が今度は安田記念で、ダノンプレミアムではなく謎のダノンキングリーに乗り替わり勝った。ルメールはというと、グランアレグリア、シュネルマイスターでG1勝ち。なんだか、「大きな意思」によって振り分けられたように見えないか。
そこで今年のG1を振り返ってみよう。
・ルメール 3勝
・福永 2勝 ダービー連覇
・川田 2勝
・サンデーR 3勝
・キャロット 2勝
シルクRの名前が無いが心配ご無用、2019~2020年にかけてアーモンドアイ、インディチャンプ、ラウダシオン、サリオスで8勝しているからバランスは取れているといっていいだろう。
このようにダービーから安田記にかけての流れや、福永、川田の謎のスイッチを見ると、ノーザン帝国の「大きな意思」を感じざるを得ない。
安田記念以前ダノンキングリーをお手馬にしていた戸崎に関していうと、完全に厩舎の主戦騎手であるがゆえの騎乗であったのだが、安田記念での川田へのスイッチは、今思えば明らかに馬主サイドの意向に沿ったものと想像できる。
そして、さらに言えば、グランアレグリアやインディチャンプを使ってのいわゆる「格上げ」をしてきた背景を深読みすると、おそらくダノンキングリーの種牡馬シンジケート、もしくは社台グループによる買取というビジネスにおいて、三嶋牧場側との金銭的な折り合いがついたとも想像できる。
このように妄想、いや推測すれば、ここ一連の乗り替わりも説明できるではないだろうか?
最後に我が師匠である清水成駿氏の言葉をお借りする。
~財産のためにマジで競馬と戦う本より~
競走馬が一つの投資であり、利潤の追求の一つの形で以上、走らせる側のそれぞれの利害バランス、強弱関係が着順に係ってくるのは当たり前だ。そして、同じ利潤なら、当然「持ちつ持たれつ」の協力関係が生まれるであろう。勝つのは1頭、それなら持ち回りの順番で、と考えるのはうがちすぎだろうか?
あくまで、賞金との相談、馬の能力との相談でサラブレッドは走っている。その事を知っていながら、あえてこのことに触れず、単純に馬の能力だとか、時計比較だとかに終始する知ったかぶりの評論に心迷わされるほど愚かなことはない。
馬は走る。だが走らせているのは人間だ。出馬表を見て、勝ちたい馬と勝ちたくない馬をまず見分ける事が競馬予想の基本である。自分が馬主になったつもりで、次のステップまで考えながらまず予想してみる。馬主経済、厩舎経済を抜きにした競馬なんかどこにも存在するはずはない。
要するに競馬も、私たちの日常のビジネス社会と同様に、投資したお金の回収額を中心に、様々な人間の利害や人間関係の強弱のバランスの上に成り立っていることを予想の第一命題として考えてみてほしいのである