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社台スタリオンステーションにスタッドインした場合、コントレイルのシンジケートでいくら儲かるのかを考えてみた。

無敗の三冠馬コントレイルの参戦するレースが残り2戦となった。種牡馬入りが決まったらしいが、かん口令が敷かれているのか、社台が買ったのか?今だに公式な発表は無い。

コントレイルというこれから大金を産んでくれる高額ファンド商品に、社台とノースヒルズ、そしてクールモアまで絡んできているのだから慎重にならざるを得ないのも当然だ。

もし、コントレイルが社台スタリオンステーション(以後社台SS)に入る事になれば、社台と共同所有、すなわち運命共同体となるので、今秋の天皇賞やジャパンカップの結果も当然変わってくるだろう。

コントレイルが無敗の三冠馬になった後、種牡馬としてどこにスタッドインするのか注目されていた。当然、三冠のお膳立てをした社台側は、社台SSに入るものだとして交渉を進めていたであろう。

しかし、ノースヒルズ側は、少しでも取り分を多くしようとクールモアとも水面下で交渉していた。要は、社台側のオファーに一旦「NO!」をたたきつけたのだ。

それが、アーモンドアイ怒りのジャパンカップ急遽参戦だった。

要するに、ノースヒルズが社台側の条件を飲まないと、コントレイルはこのまま終わる可能性がある。

しかし、社台側の条件を飲んで社台SS入りすれば、社台としても種牡馬価値を上げる必要が出てきて、天皇賞かジャパンカップのどちらか、いや両方、いや有馬記念まで3連勝という事も十分あり得るのだ。


そこで、コントレイルが社台SSで種牡馬となった場合のお金の動きを考えてみる事にした。


まず、例としてケイアイファーム生産のロードカナロアが社台スタリオンステーションにスタッドインした例を見てみよう。

歴史的牝馬アーモンドアイの父であるロードカナロアは、ケイアイファーム生産馬で、ケイアイファームのクラブであるロードHCに所属していた。募集額は、2,625万円、口数は500口。

引退後は、オーストラリアでのシャトル種牡馬、日高から8億円キャッシュなどの選択肢があったが、結局は社台スタリオンステーション入りを選んでいる。おそらく社台からケイアイファーム側にオイシイ共同所有のオファーがあったと思われる。

クラブ馬なので、契約は1年間3億9,000万の5年リースとなった。ロードカナロアの出資者には年間約32万円の配当が決定。3億9,000万を500口で割ると78万円なので、色々引かれすぎの感もあるがそこは繋養費用や保険とかの経費だろうか。


リース期間のロードカナロアの種付け数と種付け料を見てみよう。

・2014 250頭 500万
・2015 276頭 500万
・2016 267頭 500万
・2017 250頭 500万
・2018 294頭 800万

初年度で見てみると、250頭へ種付けして188頭が受胎している。という事は、約10億円弱の売り上げが発生。ロード側へのリース料を払っても毎年約6億円近い売上が発生する仕組みだ。

そして5年リースが終わると所有がロードHCから社台に移るのだが、この時の譲渡額はなんとたったの10万円という事だ。

さらにアーモンドアイやサートゥルナーリアなどの活躍で種付け料が高騰し、リース終了後、社台に所有が移った2019年度は1,500万円に設定されていた。

シンジケートは通常60口で、社台側が50%の30口、ケイアイファームが15口、残りは下河辺牧場やその他の牧場に配分するのが平均的な配分となる。

そして、その年は245頭に種付けされ、受胎数にもよるが約20~30憶円の売り上げを上げていた。

60口以外の余剰株は180口という事は、
180×1,500万円=27億円

ざっと約27億円がシンジケートの会員に配当として配られる。

・社台グループ(30口)約13億円
・ケイアイF (15口)約6億円


そしてその他の会員も口数に合わせて毎年配分される仕組みだ。分かりやすいようにザクっとした計算だが、概ねこんなものであろう。


これをコントレイルに置き換えてみよう


現在の社台SSトップ3頭の種付け料はこうなっている

1,ロードカナロア 1,500万円
2,キズナ     1,000万円
3,エピファネイア 1,000万円

今秋の天皇賞とジャパンカップの成績にもよるが、コントレイルの場合、キズナより下という事は考えづらいので、ロードカナロアと同じ1,500万円か、もしくは2,000万円という事もあるかも知れない。

種付け数は、人気のディープ産駒という事もあって、期待込みで200頭は超えるのではないと推測する。

200頭種付けするとして余生株が140株。
2,000万円×140株=28億円

これを60口のシンジケート会員に株数で配分すると下記の通りとなる。

・社台グループ(30口)14億円
・ノースヒルズ(15口)7億円
・その他牧場 (15口)7億円

お分かりだろうか、コントレイルに限らず、種牡馬というファンド商品がもたらすマネーはとてつもなく大きい。持ち株分の種付けをこなした後、余剰株分の配当が毎年分配される。

10年続けば、社台は140億円、ノースヒルズは70億円というビッグマネーが転がり込む。

ゆえに、ノースヒルズにとって、社台はいわゆるファンドマネージャーであり、彼らは水面下で利益の取り分の交渉をしていたのだ。

めでたく社台SS入りすれば、コントレイルは社台とノースヒルズの共同所有となるので、種牡馬価値を上げたい両者は手を組むのは当然で、天皇賞やジャパンカップで敵から味方へ変わるという事は、結果も変わるという事である。


競走馬が引退した後にその価値を高める重要なレースにおいて、勝つか負けるかでは、将来的に何億何十億、いや何百億の差が出る。これが競馬がブラッドビジネスと呼ばれる所以だ。

ようするに、社台グループと一部の大物馬主や大物ブリーダー達は裏で繋がっており、G1レースを勝つことや、海外のレースで善戦することによって、引退後の種牡馬価値、繁殖牝馬の価値を高めている。

そして、その産駒を一口クラブという名のファンド商品でお金を集める、そして保険や経費や手数料は会員持ちにしてリスクを最小限に抑える。

引退後は只同然で買い戻し、牝馬は繁殖牝馬セールで売り出し丸儲け、種牡馬もシンジケートでリスクヘッジしながら何百億も儲けるというビジネスモデルとなっているのだ。

私が尊敬する清水成駿氏はこう言っていた。


「競馬は夢だ!競馬はロマンだ!と言ってるが、馬が競馬も通常のビジネス社会と同様に、投資したお金の回収額を中心に様々な人間の利害や人間関係の強弱のバランスの上に成り立っていることを忘れてはいけない。」

「馬は走る。だが走らせているのは紛れもなく人間である。自分が馬主に、生産者になったつもりで次のステップまで考えながら予想してみる。馬主経済、厩舎経済を抜きにした競馬なんかどこにも存在するはずはない。」


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