今年のクラシックのキーワードは騎手の乗り替わりだ!大きな意思の前では騎手はただの駒に過ぎない!第89回東京優駿(G1)
「ダービーだけは馬は関係ない。これまで日本の競馬を支えてきた馬主や調教師や騎手が引退前に順番でもらうご褒美的で、ホースマンのお祭りレースなんだよ」
はるか昔に先輩に言われた言葉だ。
確かに歴史を見ると、函館大経、高橋孔照、林義和、山島久光、矢倉玉造、大野市太郎、小柴辰之助、鈴木甚吉といった一門のエースだった騎手、調教師が引退前に順番に獲っていた印象がある。
それらの系譜に属する岡部、郷原、増沢、柴田政人、南井など、騎手会長を務めていた功労者が、引退前にご褒美で貰えるのがダービーだった時代だ。
時代は変わり、主導権は調教師から大資本をバックにした馬主へと移った。
そして、函館大経の流れを汲む武田作十郎一門の河内、武豊、四位が社台をバックに順当に勝っている。
途中、ブームに乗って地方から殴りこんできた、安藤勝己、岩田康誠、内田博幸らベテラン勢も、中央競馬を盛り上げた功績から、社台をバックにめでたくダービージョッキーになった。
そして社台が呼んできたデムーロや、ルメールも勝ってはいるが、いずれも社台、ノーザンをバックにご褒美をもらっている格好だ。
さらに、武田文吾一門から角田晃一、池添謙一、そして3勝の福永祐一らも社台、ノーザン馬で勝っており、馬産地北海道を地盤とした稗田虎伊からの流れを汲む矢倉玉男一門からは横山典弘、九州馬産地からは佐賀競馬を地盤とする川田将雅も、ノースヒルズ、ノーザンというバックボーンによるものだった。
それら陣営や生産者、馬主といったバックボーンを踏まえた上で、ローテーション、実績を加味して考えてみよう
まずは人気どころの騎手を見てみると、川田、武豊、ルメール、福永とダービージョッキーが続く。厩舎も堀、友道とダービー勝ちが続き、続いて皐月賞をワンツーしたキムテツ。
「おいおいまたですか!」
武豊6勝目?福永3連覇?キムテツ2冠?また友道?ノーザン?
今年は金子馬がいないものの、毎年まったくうんざりする結果だと思うのは私だけであろうか?
コロナショックの影響か?世の中は不況に突入して、給料は上がらないうえに物価高と円安で状態。格差はどんどん広がるばかりである。
そんな中、ダノックス、キーファーズ、ラ・メール、ABC三木などの富裕層がセレクトセールで勝った高額馬がダービーを勝てば、ダービーは金さえ出せば買える事になる。
金持ちが高額馬で勝ち、弱者が負ける。今のご時世において、そんな結果は興行主も望んではいまい。
◎ロードレゼル
鞍上のレーンは、昨年はコロナ過で来日できなかったが、その前にはサートゥルナーリアで4着、サリオスで2着しており、さらには先週のオークスではサンデーレーシングの馬で2着だった。
リスグラシューの有馬記念以来、日本ではG1勝ちが無いが、明らかにノーザン専属と言えるような戦歴であるのに、なぜここはノーザン馬に乗らないのか?という疑問がふつふつと湧いてきた。
生産のケイアイファームと言えば、ダノックスとのつながりが深いのは周知の事だが、主戦の川田はダノンベルーガに行くのが当然だろう。
しかし、よく考えてみると、ロードカナロアのシンジケートで社台帝国と組んで大儲けしたのもケイアイファーム。
そして、ヒルサイドステーブルとして、ノーザンファームしがらきの施設を借りているのは、中内田の実家しがらき牧場だ。
キンカメの肌にディープという王道血統。500口という庶民のクラブ、ノーザン御用達の中内田、なぜか不思議なレーンの起用。全て今や泣く子も黙るノーザン帝国にウラで繋がってくる。
そして、今年のクラシックのキーワードである「乗り替わり」だが、桜花賞では武史から川田に乗り替わったスターズオンアースが、皐月賞ではルメールから乗り替わったジオグリフが、そしてオークスは川田から乗り替わった2頭がワンツーフィニッシュという結果だった。
ロードレゼルは川田からの乗り替わりとなる上に、ここ一番での謎のレーン起用は、ロードHCと種牡馬におけるビジネスパートナーである社台の「大きな意思」が働いた結果ともいえまいか?