3冠最後の菊花賞の前に、神戸新聞杯を含めてもう一度勢力図を整理してみよう。セントライト記念(G3)◎アサマノイタズラ
セントライト記念を予想する前にまずは
3歳クラシック路線の経緯と結果をおさらいしてみましょう。
はじめに昨年の芝の2歳戦を振り返ると、
函館、新潟の2歳重賞こそマイネルとゴドルフィンが勝ったが、
ホープフルSまでリステッドを含めてノーザンファームが全勝。
そして今年の3歳牡馬クラシック路線を振り返っても、
やはりノーザンファーム系の馬が席巻している。
中でもノーザン勢は、サンデーレーシングのシャフリヤールと、
キャロットのエフフォーリアが断然の主役となっている。
どうやら、今年のクラシック路線においては、
シルクレーシングは一枚落ちる印象だ。
それでもシルクは、ヴァイスメテオール、アナザーリリック、
ピクシーナイトなど活躍馬がちゃんといて、
ノーザン系クラブ内のバランスは何とか取れているようだ。
さて、その主役2頭だが、シャフリヤールは神戸新聞杯から、
本番の菊花賞を目指すが、エフフォーリアは菊花賞を回避する。
どのみち、ノーザンが2頭を使い分けをしてきた以上、
菊花賞はシャフリヤールがそのまま勝つか、
シャフリヤールを使って他のノーザン馬の価値を上げるかだ。
そこでセントライト記念の過去10年を振り返ってみると、
ノーザン馬は個人名義が2勝のみで、ノーザン系クラブも
サンデーレーシングが1勝しているだけとなっている。
やはり、神戸新聞杯と違って、一枚落ちる前哨戦であること、
そして中山の2,200mというマイナーな非根幹距離である事が
その理由に他ならない。
血統を見ても、ナカヤマフェスタ、スクリーンヒーロー、
トーセンホマレボシ、ブラックタイドといったように、
社台ではない、いわゆる非主流系の種牡馬が目立つ。
となると、中山の非根幹距離であるセントライト記念は、
「非ノーザン馬」が勝つ確率が高いとみるのが正解ではないか?
そこで目を付けたのが、手塚の愛弟子嶋田純次をおろして
田辺裕信を起用してきたアサマノイタズラである。
ステイヤー血脈として欧州で栄えたサドラーズウェルズ、
その産駒で日本の高速馬場に対応してきたオペラハウス、
1980年代欧州最強の凱旋門賞馬ダンシングブレーヴを持つ母系に
ヴィクトワールピサという重厚な血統は、
中山の非根幹距離ならではという印象さえある。
さらに、厩舎所属の愛弟子である嶋田純次を下ろして
田辺裕信にスイッチしている事も勝負掛かりという事を示している。
【結論】◎アサマノイタズラ
相手はやはり福永・ルメールのキャロット2騎と
和生カレンシェルブル、武史タイトルホルダー、
松山グラティアス、デムーロのレッドヴェロシティと
連勝系で6点になるがここは手広く行ってみよう。
競馬がどんな形に変化しようと「マジで競馬と戦う本」以来、
不変のメインテーマは「走らせる側の立場に立って考えること」
どんな馬であろうと、参戦には参戦するだけの理由があるもの。
騎手の乗り替わり、コメント、調教、ローテーション、
どんな些細な変化も見逃してはならない。
それらの情報を全て頭に叩き込んだ上で、
走らせる側の気持ちに立って推理する。
多くの樹々がざわめくのは敵が攻めてきたのである。
多くの草が覆い被せてあるのは、こちらに伏兵を疑わせる為である。
鳥が飛び立つのは伏兵があり、獣が驚き走るのは奇襲である。
とは「孫子13篇」にしたためられた師の実践的兵法論。
勿論、その鋭い観察眼は相手の立場に立ってこそ
初めて見えてくるものである。
~清水成駿~
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