社台グループのセレクトセールを中心に開催される競走馬のセリ市場情報で、現在の振興馬主や馬主関連の勢力図がまるわかりになる。
日本における馬のセリ市場とは大別すると以下に分けられる
◇競走年齢に達していない0~1歳の仔馬
◇競走年齢を満たす2歳に達し調教が施された未出走馬
◇現役競走馬
◇繁殖牝馬
0~1歳の仔馬については生産者が売却を前提としたマーケットブリーダーならばセリ市で馬主に売却されることになる。ただし、日本においては庭先取引と呼ばれる直接売買が約8割を占める。競走年齢を満たす2歳に達し調教が施された未出走馬は主に調教トレーニングセール(もしくはトレーニングセール)と呼ばれるセリ市に上場される。
競馬場やトレーニングセンターでトラックで調教トレーニングを公開したうえで競走馬の売買取引を実施する。また0~1歳の時に一度購入し調教を施して2歳の時に高値でトレードするという「ピンフッカー」と呼ばれる業者や生産牧場から馬を預かって育成・調教、さらには宣伝を行って高値で売却されるよう活動するコンサイナーと呼ばれる業者も存在する。アメリカ合衆国ではケンタッキー州やフロリダ州で盛んに行われており、近年日本でも行われている。
現役競走馬のセリ市は日本国外では盛んに行われているが、日本では後述のホッカイドウ競馬トレーディングセールのみである。繁殖馬については日本では後述のジェイエス繁殖馬セールや、近年は行われていないが社台グループによるセリ市もあった。
日本の競走馬セリ市馬情報
セリ市で1億円以上の落札例
<2019年 1歳馬>
ミュージカルウェイの2018 3億6,000 近藤利一
ジンジャーパンチの2018 2億9,000 サラブレッドクラブライオン
シンハディーパの2018 2億7,000 杉野公彦(ラウンドワン)
ジョコンダⅡの2018 2億6,000 金子真人HD
ベルワトリングの2018 2億5,000 (株)サトミHC
マラコスタムブラダの2018 2億3,000 スリーエイチR(飯塚知一)
マーゴットディドの2018 2億1,000 金子真人HD
サマーハの2018 2億1,000 金子真人HD
フラーテイシャスミスの2018 2億 サラブレッドクラブライオン
プリティカリーナの2018 1億8,000 小笹芳央(ホウオウ)
ホットチャチャの2018 1億7,000 杉野公彦(ラウンドワン)
ラッドルチェンドの2018 1億6,500 (株)ダノックス
ダンサーデスティネイション2018 1億6,000 (株)サトミHC
ムーンライトダンスの2018 1億6,000 Gリビエール・レーシング
エンジェルフォールの2018 1億5,000 杉野公彦(ラウンドワン)
ペルヴィアンリリーの2018 1億5,000 (株)ダノックス
ワイの2018 1億3,500 金子真人HD
アドマイヤキラメキの2018 1億3,000 島川隆哉(トーセン)
ハヴユーゴーンアウェイ2018 1億3,000 小笹芳央(ホウオウ)
シャンドランジュの2018 1億2,500 三木正浩(ABCマート)
ルモスティの2018 1億2,000 スクーデリア(山本英俊)
<2019年 当歳馬>
タイタンクイーンの2019 4億7,000 近藤利一
ベネンシアドールの2019 2億9,000 (株)ダノックス
アドマイヤテンバの2019 2億7,000 小笹芳央(ホウオウ)
アドマイヤセプターの2019 2億5,000 東洋木材
ライフフォーセールの2019 2億2,000 大塚亮一
アゲヒバリの2019 2億1,000 小笹芳央(ホウオウ)
ヤンキーローズの2019 2億1,000 金子真人HD
ラスティングソングの2019 1億9,000 スリーエイチレーシング
タミーザトルピードの2019 1億8,000 (株)ダノックス
ソーメニーウェイズの2019 1億7,000 Y's consignment sales
マラコスタムブラダの2019 1億6,000 猪熊広次(バローズ)
ドナブリーニの2019 1億6,000 HIROKIカンパニー
コーステッドの2019 1億6,000 (株)ダノックス
キャリコの2019 1億5,000 野田みづき(ダノックス)
ウィラビーオーサムの2019 1億4,000 (株)サトミHC
ウォッチハーの2019 1億3,000 小笹芳央(ホウオウ)
バディーラの2019 1億2,000 廣崎利洋HD
ダイワミランダの2019 1億1,000 二木英徳(イオン)
セレスタの2019 1億 東洋木材
ファイネストシティの2019 1億 (株)ダノックス
<2020年 1歳馬>
シーヴの2019 5億1,000 国本哲秀(ショウナン)
フォエヴァーダーリングの2019 4億 (株)ダノックス
テディーズプロミスの2019 2億4,000 キーファーズ
アブソリュートレディの2019 2億2,000 金子真人HD
カンビーナの2019 2億 島川隆哉(トーセン)
キャンプロックの2019 1億9,000 野田みづき(ダノックス)
ラッキートゥビーミーの2019 1億9,000 エフレーシング
パレスルーマーの2019 1億9,000 麻布商事(ABCマート)
カルティカの2019 1億7,000 廣崎利洋HD
マルシアーノの2019 1億7,000 麻布商事(ABCマート)
プラウドスペルの2019 1億6,000 廣崎利洋HD
チェリーコレクトの2019 1億4,500 麻布商事(ABCマート)
ユーロシャーリーンの2019 1億4,500 エフレーシング(杉野公彦)
フォンタネットポーの2019 1億3,500 麻布商事(ABCマート)
ポロンナルワの2019 1億2,500 エフレーシング(杉野公彦)
ヒストリックレディの2019 1億1,500 金子真人
ジョイフルビクトリーの2019 1億 500 ダノックス
オールドタイムワルツの2019 1億 500 麻布商事(ABCマート)
<2020年 当歳馬>
ヒルダズパッションの2020 3億8,000 小笹芳央(ホウオウ)
シーズアタイガーの2020 2億7,000 (株)ダノックス
シーヴの2020 2億1,000 三輪ホールディング
ファイナルスコアの2020 2億 大塚亮一
マラコスタムブラダの2020 1億9,000 麻布商事
クイーンビーⅡの2020 1億4,500 (株)ダノックス
キラモサの2020 1億4,000 国本哲秀(ショウナン)
スターシップトラッフルズの2020 1億3,500 原村正紀
カデナダムールの2020 1億2,000 野田みづき
フリーティングスピリットの2020 1億1,000 (株)インゼル
サマーハの2020 1億 金子真人HD
あとがき
競走馬の購買に関しては、仲買人やコンサイナー等も存在しており、また仲の良い馬主同士が何人かで共同で購入したりと、結構謎の場合が多いです。例えばABCマートの三木正浩氏は、「麻布商事」という法人を作っていて、誰と共同購入しているかは分かりません。仲の良い里見治あたりかとは思いますが詳細は不明です。おそらくアドバイザーは同じかと思われます。
ラウンドワンの杉野公彦氏も、今年あたりから「エフレーシング」という法人を作っていて、飯塚知一が代表のスリーエイチレーシング、謎のキーファーズ、ラメール東洋木材、さらには大塚亮一関連のGリビエール・レーシングなど、お金持ち同士で共同で競走馬を購入して、社台ファームの吉田照哉氏や、ノーザンファームの吉田勝己氏に近づき、アドバイスをもらいながら競走馬の減価償却などで節税をやっているようです。
如何せんこのあたりの事は謎が多いので調べてみると、誰と誰が繋がっているとか、色々と面白いです。