#6産まれて生きることの理由

※注意※

今回の内容には過去の自殺未遂に触れています。影響を受けやすい方は閲覧しないでください。

また、自殺を助長するためではなく、今後、ここから立ち直った自分の人生の過程を描いています。

閲覧は自己責任で、くれぐれもご注意ください。



イジメをきっかけに、私はだんだんと部屋に閉じこもるようになっていった。

学校には何とか行っていたが、友達の定義を見失った私はどんどん孤立していった。


変わらず家の手伝いはしていたが、疲れて帰ってくる両親を避けるようになっていた。

食事こそ一緒にしていたが、会話は必要最低限。

食事とお風呂以外の時間はずっと部屋で過ごしていた。

考えたり、泣いたり、本を読んだり。

ドア1枚向こう側では妹と母親は一緒にテレビを見たり雑誌を見たりしていた。

その楽しそうな話し声が聞こえてきて本当に嫌だったのだ。

私の様子がおかしくても、母親は反抗期が来た程度にしか思ってないようだった。


娘がいじめられてつらい思いをして泣いているのに、気付かずのんきに笑う親に

だんだんと怒りを覚えていった。


自分の中に悲しみと怒りと不安と不満、ありとあらゆる嫌な感情が渦巻いていた。


どんなに仲良くしたところで、友達は自分を助けてくれる訳じゃない。

仲良しごっこしていたって、あくまでごっこ遊び。

人はいつだって自分のためなら平気で人を裏切れる生き物。


親だってそうだ。

妹ばかり可愛がり、私のことは気にもしない。

自分は何故産まれたんだろう。

何のために生きてるんだろう。

居場所がない。

学校にも部室にも家にも友達にも家族にも。

誰も信じられない。

誰も助けてくれない。

助かる方法なんてわからない。



誰にも言えず、頼れず、吐き出す場所もない。

いつしか私は自殺を考えるようになっていた。


未来?そんなものいらない。

いつか笑える日が来る?今がもう耐えられない。

早まっちゃダメだ?じゃあ誰が何とかしてくれるの?

家族が悲しむ?気付きもしないのに?

友達が悲しむ?友達なんていない。そもそも友達って何?



ある週末、父と母と妹はショッピングセンターに買い物に行った。

私も行かないのか?と聞かれたが行かない、と答えた。

狭い、密度の高い家の中で、1人きりになれる時間だけが唯一息ができる時間だった。

その頃はもう考えるのにも疲れ果てて、机でぼーっとしていることが多かった。

ぼーっとしていても、気付くと涙が頬を伝っていた。


ふ、と。家に1人の今、チャンスだと思った。

死ぬか、と思い立った。

キッチンから包丁を持ってきて、机に置き、しばらく眺めていた。

いざ死んでみようと思うと、死んだら家族が後片付けをするのか、とか

やっぱりお風呂場でやった方がいいのか、とか

遺書を書いた方がいいのか、とか

しょうもないことを考えた。

何度か、自分の手首にあてて、どう切れば死ねるんだ?とか思っていた。

その度に、こうするしか出来なくて申し訳ないとも思ったり、どうしてこんなことになっちゃったんだろうと思ったり

混乱して泣きながら何度も手首に包丁をあてて、離してを繰り返した。

どれくらいそうしていたのかわからない。

泣き疲れたのと、緊張感からか体も頭も疲れ果てて

包丁を握りしめたまま、机に突っ伏すようにして寝てしまっていた。

起きたのは出かけていた家族が帰ってきた騒がしさに気付いたからだった。


疲れ切っていて、寝起きで回らない頭。

母親がドアを開けて私の名前を叫んだ。


そこからはよく覚えていない。

母親が包丁を取り上げたこと。

見られてしまった、失敗してしまったという残念な気持ち。

どうすればこの場を誤魔化せるか。

疲れた。

今更親ぶっても無駄。

話したくない。

話したってどうせ助かる訳がない。


でも本当は助けてほしかった。

心配してほしかった。

生きてていいんだよと言って欲しかった。

産まれた意味を、生きてる理由を、


居場所を与えて欲しかった。


泣きじゃくった記憶

母親の心配と悲しみが入り交じる顔

父の困惑した仕草

それしか記憶がない。


それでも私は大好きな部活でいじめられている事を親に打ち明けた。

自殺未遂がバレないと、私は親に助けを求めることもできなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?