地に潜む玄武の至宝③
は。何ソレ。AIが提案する戦略って、首を傾げちゃう。押してダメなら引いてみる。ムダな力は抜いて、緩めましょう──
マジ( ̄▽ ̄;)
😲 😲 😲
こんにちは。フジミドリです。
さあ、玄武攻略の最終話。ミツヒロ&サクヤに、起死回生の展開があるのでしょうか。
🌿 🌿 🌿
やだなぁ。AIなのに、ファンタジーの老賢人みたいなことを言うから、吹き出しちゃう。しかも、活き活き溌溂した声で。
サクヤと一緒に笑ったけど
エルフのガイドは、腕を組み考え込む。長い耳が水平に尖る。そんなアイデア、今まで聞いたことありませんと唸った。
「え。そうなんだ。じゃあ、もしかして」
サクヤは首を傾げる。囁くような声なのに、よく聞こえちゃう。耳って不思議だよ。と思った途端、不快な轟音が響いた。
🚀 🚀 🚀
とうとう動き出して、火を噴き捲る玄武は、手がつけられない。仮に、ボクのパワーアップとか、サクヤの上位魔法ゲットでも、ちょっとムリっぽい。諦め気味になった。
力と力のぶつかり合い
ふと思う。力比べって限界が来る。どんなに強くなっても、いつかは負けちゃう。なんか虚しいね。戦いって、死ぬまで続くんだよ。
対抗策が浮かばない。イデアルームで、一休みかな。その間、ゲームは停止するのだ。
「なら、あっしもちょいと、休憩で」
🏡 🏡 🏡
「ミツ君、どうしようね。力を抜くなんて、あたし、考えたこともなかったよ」
AIの声は、ボクだけでなく、サクヤとガイドにも聞こえる設定にしてあった。
『うーん。逃げ回るだけとか』
「反撃しないと、食べられちゃうよ」
『ひえぇ。怖いこと言わないで』
「あたしもヤダ。目の前でミツ君が」
うぅぅ。想像しちゃった。玄武の炎で、丸焦げのボク。熱いよ。それか、尻尾の蛇に食い千切られちゃう。肋骨バリバリ内臓破裂。
ゲェ(°∇°;)
《まずは深呼吸です。音楽と飲み物で》
🍹 🍹 🍹
AIの提案で、ボクらはソファに沈む。静かな音楽に浸って喉を潤す。
フーッと一息つく。やれやれ。ゲームなんだけどね。のめり込んじゃったかな。まるで、人生詰んだみたいに感じたよ。悪夢から目が覚めたって感じかも。
サクヤの飲み物はレモンスカッシュ。
ボクがクリームソーダ。
「うわぁ。ホントに飲んでるみたい」
『スゴいね。ちゃんと味がするよ』
ボクらはゲーム前に、ナノマシンでホルモンの分泌が良くなっている。VRゴーグルが脳を刺激して、飲んだ記憶を蘇らせるのだった。
🎆 🎆 🎆
『あはは~力が抜けるね』
「玄武や蛇にも、飲ませちゃう❔」
『わお。それって、ナイスなアイデア』
「あ。ミツ君、あたし、わかったかも❕」
提案に耳を傾ける。サクヤの目は輝く。口調が活き活きする。表情もクルクル変わって忙しい。身振り手振りは大きくなった。
え。え。それって大丈夫❔
頭が追いつかない。判断できない。でも、中心は進めと言う。ゲームだって、死ぬのイヤだけど、サクヤを信じるしかないよ。
🗿 🗿 🗿
打ち合わせ通り、ボクは玄武の周りを走り回って、足に切りつける。陽動だ。尻尾の蛇が襲い掛かってくる。これでいいぞ。
でも、大丈夫かな。うまくいってると思う時は、落とし穴があるもんだよね。後で、ガツンと、叩き落とされたりするんだよなぁ。
《ゼロになって、一体感を推奨します》
💡 💡 💡
そうだ。すっかり忘れていた。ボクは仙骨を意識する。それから、玄武と尻尾の蛇、夫々の中心を意識。モニターが映った。
《全体の中心は、こちらです》
風景に薄く重なるモニター画面で、金色の光が点滅している。ボクはそこへ、意識を絞り込んでいく。息を吐いてゼロになる。
《量子解析終了。誘導します》
📡 📡 📡
一筋のラインが見えた
逃げながらも、サクヤの土壁を足場に、玄武の額へ斬り掛かる。刻まれた文字を削りにいく。またもや、尻尾の蛇が妨害してきた。
短剣で牙を防ぐ。押し合う。残り10秒で、玄武が炎を噴くはずだ──その瞬間、ボクは力を緩める。押されて玄武の前へ!
🔥 🔥 🔥
玄武が火を噴く。凄まじい。短剣で繋がった蛇とボクは炎に包まれる。蛇の悲鳴。だけどボクは、サクヤの防護魔法で守られていた。
玄武は、自分で弱点の尻尾を、焼き殺したのだ。押し込まれるフリして、ボクが尻尾の蛇を炎の前へ誘導した。イデアルームで思いついたサクヤのアイデアだ。
蛇が力を失い、ダンジョンの床にドサッと落ちる。炎は止む。玄武の額に罅が入る。文字を裂く。体のあちこちで何本もの筋。中から光が差す。眩しい。
玄武は爆発した
粉々になり、飛び散っていき、さらにもう一度、爆発が起こった。強靭堅固なゴーレムの欠片は、バラバラと光の粒になった。
🌋 🌋 🌋
ボクは思わず、両手で顔を覆った。爆風で吹き飛ばされるかと思ったけれど、そうはならなかった。空間が歪んだ感じがして、吐きそうになった。どうなっているんだろう。
《素粒子ですね。量子解析します》
地下のダンジョンを光が覆っていく。キラキラ光る。光の粒は波でもある。粒で波。僕の目がおかしいのかな。奇妙な光景だった。
空中に文字が浮かぶ。なんだこれは。知らないよ。こんな言葉。一つずつの漢字は、もちろん知っているけど。何て読むんだろう。
🐢 🐍 🐢
サクヤと目が合う。お互い頷く。思わず顔は綻ぶ。やったあぁぁぁぁ。ハラの底から熱い流れが弾ける。ガッツポーズ。サクヤは手を叩く。ガイドも喝采してくれる。続いて、AIの生き生きした声が響いた。
《おめでとうございます。至宝獲得です》
宙に漂う文字──力存
第一関門突破。玄武攻略だ。え。でも、至宝って何。まさかこの文字。どういうこと❓
イラストは朔川揺さんです💞
https://ncode.syosetu.com/n7877fn/
10月3日の午前10時へ続く💖
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ありがとうございます🎊