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自殺する人しないヒト
私は死神よ。
死へ誘う役ってわけ。でも、誤解だわ。死にたくなるように、私が傍らで囁くなんて。
確認するだけよ。
ホントにいいのって──
☆☆☆
こんにちは!
フジミドリです♡
今日の私物語は死が主人公となります。死の立場へ潜り込んでみました。
死の視点から見る風景は──
☆☆☆
現代人は私を怖れてる。
何が恐いのかしら。
死んだら消滅、死ぬのは可哀想、死ねばもう会えない、医学にとって死が敗北。
巧妙な教育ね。
だから人は人を殺す。戦争が起こる。死んでも続くと解れば、殺人なんてやらないわ。
☆☆☆
現代は、死後の世界を知らずに死んじゃう人が多いのよ。どうなるかって話だけど、それはそれは混乱しているわ。
目の前に自分の死体があって、でも見てる自分はちゃんといるわけじゃない。
しかも、脳に蓄積されていた記憶が使えないから、死んだってわからないの。
周りで泣いてる、家族や友だちに話しかけたって、もちろん聞こえないでしょ。
肩を揺すっても、すり抜けちゃう。
☆☆☆
それで、どうしようもないから、生きてた時の惰性で同じように暮らしてみるの。
でも、だんだんおかしいって感じる。ご飯を食べても味がない。お腹も空かないし。
眠くも痛くもない。
当たり前よね。
体がないんだもの。
夏だって暑くない。冬だって寒くない。お金がなくても、暮らしていけちゃう。
☆☆☆
もしかして死んだのかって、理解できれば次の世界へ進めるんだけど。
知らないと怖がったりして。
なんとなく、どっちつかずの暮らしに、しがみついたりしちゃう。
☆☆☆
あ。そうそう自殺。
しちゃダメって言うけど。
どうしていけないのか、説明できなかったりする。だから止められないのよ。
うーん。自殺したらどうなるかって仕組み、教えられる人が滅多にいないから。
☆☆☆
自殺しても驚くわ。
だってそうよ。死ねば苦しみから解放されると思っていたのに、まだ在るんだもの。死体を見て戸惑ったりしてる。
だから、また死のうとして。
でも、自分は在るわけ。
それで混乱しちゃって、何度も何度も死ぬんだけれど、やっぱり自分は在るのよ。
☆☆☆
寿命ってあるでしょ。
80年とか90年とか、産まれる前からそれぞれが、生きて理解しようと決めた時間。
自殺は途中で放棄すること。
だから寿命が来るまで、幽の世界に棲めないの。かといって、現実界でも暮らせない。
次現界って狭間でウロウロ漂う。
☆☆☆
もちろん、人生は始めから終わりまで決まってる。決まってる通り映し出されるわ。
ホントよくできた立体映画。
だから自殺する人も、決めてきたわけで、自殺する運命は変えられないの。
進むしかない──
☆☆☆
最期まで決まってる、このままでよい、そう理解するから、なんとか生き抜ける。
決まってないと思い込めば、もっと良くしよう、これじゃダメって未練ばかり。
変えなくていいのよ
そのままでいいわ
生きてるだけで充分ね
どんなに苦しくても辛くても、自分で決めたんだから大丈夫。終わった後は、光輝く世界が待ってるわ。
もちろん、手助けもあるのよ。
☆☆☆
「死んでも生きてるんだな」
『だから父さん、言っただろ』
「まぁそうだけどよぉ」
『オレが、ミドリを看取った後でも、よく話してるって言ったら、ヤバいもの見るような顔して、引いてたもんね』
「あん時は元気だったからな。寝たきりで、うつらうつらしてっと、先に死んだ馬仲間とバカ言って笑う夢見てよ」
『ほら、大好きな馬でもクルマでも乗ればいいよ。笑ってる父さん思い出すからさ。オレの記憶を使って楽しんでくれ』
「おう、すまねえな」
『いいってことよ』
☆☆☆
そうね。こんな風にして見送る人がいたら、幽の世界へすんなり逝ける。私だって心置きなくスパッと引導を渡せるわ。
離魂──
霊魂が肉体を離れるお手伝い。
目の後ろで支える蝶形骨と背骨の底に控える仙骨。この二つに流れ込んでる、宇宙からの生命波を切れば済む。終わり。
まず蝶形骨から。
切ると、幽の体が抜け出し始めて、この人は5時間で仙骨の方も切れたわ。
浮かび上がった幽体は、祖先の霊が大切に運んでいく。この人を迎えに来た霊は5体よ。まあ、そんなものね。
☆☆☆
『もう痒くないでしょ』
「お。ホントだぜ」
『まったくさぁ。いよいよだって面会に行ったら、オレの顔見た途端、痒い~』
「わっはっは。しょうがねえだろ」
『珍しく殊勝な気持ちで、最期に何を言うかな、身構えていたら、痒い~背中、掻いて~だもん。ええ。搔きましたとも』
「わはは。ありがとな」
『こちらこそありがとう。仲良かったりケンカしたり。いろいろあったね。でもオレは、父さんの息子に生まれてよかったよ』
「……そうか……そうかあ」
『またいつか逢いましょう』
「おう。お前も元気でな」
☆☆☆
うんうん。そうよ。それでいい。
何もかもキレイさっぱり、吐き出して逝けばいい。スッキリ晴々、次の世界が待つわ。
広大無辺で果てのない世界。溢れかえる光から、なんでも創り出せる宇宙。自由自在よ。そして、この世に映し出して味わうの。
霊魂は永遠に続く。ほんの一時、霊が肉体に止まって。だから霊止。自分が霊止って理解したら、それでもう大丈夫。
知識も感情も消えていく。死後の世界では使えない。霊魂の理解だけが頼れるの。
心配いらない。大丈夫よ。
できるという在り方で──
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☆☆☆
昨日、母が他界致しました。
明日午後6時西遊記の創作談話で、少しお伝えできればと考えております。
ではまた💚
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