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第二次世界大戦で米軍が残していった文学作品

第二次世界大戦は戦線が広い。米軍は様々な戦線に兵隊を送り込んだが、兵士は不満だった。

「移動時間が暇すぎる!」

それまでの戦争と比べてあまりにも長い移動時間は、兵士の不満を貯めるには十分だった。
戦地に着く前に不満が爆発してしまうことを懸念した軍は、本を支給するプランを策定した。

兵士の不満を抑えることが目的なので、内容も戦意高揚的なカタい話ではなく、娯楽小説をメインに据えた。

それが、ペーパーバックだ

Armed services editionと銘打たれたペーパーバックは、大戦中需要が減っていた雑誌用の輪転機を転用し、効率的に生産された。
内容は全て既に作られた作品だが、様々な趣味を持つ米軍の兵士のために様々なジャンルの作品を採用。
タイトルだけでも千を超える。 支給された兵士は仲間内で読み回した。

内容に対するアンケートも取られ、兵士の需要に応えつづけた。
大戦後も駐留する米軍兵士への提供は続けられ、米軍が帰還するときには地元の人間に売られたり、捨てられたりすることとなるが、占領された側から見れば、本来アメリカ国内でのみ消費されていた文学作品などを大量に手にする機会ともなっていた。

英語圏の人々や非英語圏の知識人層への影響は計り知れない。 冷戦期のアメリカは自国の文化を売り込むのに躍起になっていたが、このときに意図せずもたらした大量の安価な本が、売り込まれた国のアメリカ文化の受容に一役買ってるのかもしれない。

ちなみに、日本ではこのときにもたらされた本によって、SFの文化が花開いた。

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