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#109 チャンスを逃すな 絵本にみた社会の風刺
娘が最近ハマっているお話、『三匹のやぎのがらがらどん』。話を知るほど、人間社会を風刺しているように思えてならない。
物語の大筋は次のようなものだ
大中小、三匹のヤギがいた
隣の山に行くのに、谷に架かる橋を渡る
橋にはトロルがいてヤギを食べようと待っている
小ヤギが橋でトロルに会う。小ヤギが「あとでもっと大きなヤギがくる」というと、トロルは食べずに見過ごす。
中ヤギが橋でトロルに会う。中ヤギが「あとでもっと大きなヤギがくる」というと、トロルは食べずに見過ごす。
大ヤギが橋に来た途端、トロルは木っ端微塵にされ、谷底に落とされる。
絵本の割に、「目玉を田楽刺し」とか「木っ端微塵」とかグロテスクな表現があるが、読み聞かせの絵本としては面白い。
それはさておき、タイトルに書いた風刺のことだが、このトロルの行動に感じたものである。
トロルには、ヤギを食べるチャンスが2回訪れた。そして、2回とも「この先もっと大きなチャンスがくる」と期待して見過ごし、結局は掴み損ねてしまうのである。
この様子が、なんとも人間の姿を風刺しているように映る。例えば、株や暗号資産の値段がつり上がるのを待ち、気づいたときには値下がりして利益を損ねる人間の姿、或いは、何か新しいことにチャレンジするのにタイミングを計り、好機を逃す人間の姿にみえてしまうのだ。
一方、日本昔話「桃太郎」のおばあさんは、大きな桃を見つけたら迷わず手に入れた。結果、桃からは赤子が生まれ、すくすく成長し、終いには鬼を退治するまでになった。本当は桃を食べたかったのかもしれないが、見過ごしていたらこのような結果にはならなかっただろう(昔話にもならなかった)。
これらの話から思うに、チャンスは何度も訪れない。最初に掴まなければ、そのままどこかに行ってしまい、戻ってこない。だから、チャンスがきたらすぐ掴むこと、チャンスきたら掴めるように構えておくこと、が大切なのだと感じた。
橋を渡るヤギも、川を流れる桃も、何度も来ない。
チャンスを察知するアンテナと肌感、そしてものにしようと1歩踏み出す行動力。これが、トロルとおばあさんの差であり、チャンスをものにする人と、ものにし損ねる人の差であると感じた。
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