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#21 それ誰か知ってたよね 大事な情報が引き継がれない

それ誰か知ってたよね。

詳細は伏せますが、ある工事で、過去の完成図と実際とで管路の勾配が違っていたことにより、作業の段取りを根本から見直さなければならない事態になりました。管路自体は地中に埋まっているので、工事で掘ってみて初めて分かった情報でした。

こういった段取り変えには、余計な手間や時間、費用が発生します。最も避けたいことです。

管路勾配の情報は、誰も知り得なかったのか。

実はそうでもないと僕は思っています。

管路の直径は約1m あり、人の出入りが可能です。維持管理のために数年に1度は管内に入り、内部の劣化状況を点検している人がいます。

誰かは見ているのです。

にも関わらず、何故掘るまでわからなかったのか。

大きく2つの原因が考えられます。
①管内に入った人は問題の光景を見ていたが、それを問題と認識しなかった
②管内に入った人は問題を認識したが、その情報が引き継がれなかった

この2つの原因は、どこでも起こりうることです。どのように対策していけばよいのでしょうか。

木も見て森も見る

施設の維持管理や点検においては、その時の目的だけでなく、全体を広く俯瞰的に見るということが大事でしょう。これには、維持管理上のポイントを抑えておかねばならず、経験と思考訓練が必要です。

いなくなる前提で記録する

僕のいる会社は2〜3年で転勤があります。引継ぐ直前ではなく、常に自分がいなくなること前提で引き継ぐべき重要な情報は逐一記録していく、これに限ると思います。 

そして、引継ぐべき情報は、1箇所にまとめておくこと。そうでないと、せっかく作った資料も、データの海に埋もれ、将来の職員には見つけることすらできません。

引継ぎ率100%を目指して

Aさん→Bさん 引継ぎ率70%
Bさん→Cさん 引継ぎ率70%
⇨ Aさん→Cさん 引継ぎ率49%

このように、1世代の引継ぎ率が100%を下回ると、未来に向かって重要な情報がそぎ落とされ、やがて消失します。情報が人につくような仕事の仕方では、これは解決しません。情報を組織で共有する仕組みを作り、引継ぎ率を100%に近づけていかねばなりません。

どうしたらよいのか。
これは自分の中ではまだ答えが出ていません。
情報が多すぎてもみられないし、少なすぎても問題です。引継ぎ方法が確立されておらず個々に任されており、「わからなかったら聞いて」といった雰囲気が組織的に根底にあったりします。

事実、前の人の作ったり残したりした資料をじっくりと見返すことはほとんどありません。それが、自分にとってどれほど重要な資料なのか、そもそも判別できないからです。

転勤族にとって、適切に情報を残して引き継ぐ方法は、永遠の課題であり、試行錯誤の余地がありそうです。



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