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読んでるうちに、旅をしていた。 殺されそうになった。怖かった。
文庫本で小説を読んでいると、いつの間にか本の中の世界に入ってしまうことはよくあります。
普通の“良文家”ならば、「ました」「です」と、最後の言い回しを変えてね、と言われるところを、いかにも小学生の日記のような平易で単純な繰り返しでしめています。
でも逆にこれが躍動感を感じさせて、すんなり入ってくるのです。
夢中になって読んでいると、あらゆるできごとが一気に目の前に飛び込んできて、ストーリー展開とともに自分のテンションも一気に上がってきます。
読書好きなら、わかるでしょう。
おそらくこの話の一つのやまは、殺されそうになってからそれを逃れるまでです。
そこを一気に表現してしまうことで、旅の続きでは何が起こるの?これからどこにいくんだろう?という「続きはCMのあとで効果」をうまく取り入れているように見えます。
良文家の型をチャーミングに崩すあたりが、さすがは仲畑さんですねえ。
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