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協働現場で「耳を傾ける」! 〜その大きな効果と難しさ【いちばん身近な協働論】
今回は、協働現場で「耳を傾ける」ということについて、前半ではその効果について、過去の記事を参照しながらまとめ、後半では、その難しさと対処法の考察を行います。
1、協働で「耳を傾ける」ことの効果
異なる主体が同じ目的に向けて協働する時、互いの想いや意見に耳を傾けることは欠かせません。
丁寧に耳を傾けながら協働を進めていくと、どのような効果があるのでしょうか?
▶協働の現場で「相乗効果」が生まれる!
相手に耳を傾け、有意義な対話を重ね、異なる主体同士で協力することによって、相乗効果が生まれます。一主体を超えた新しい未来を叶えていくことができます。
相乗効果が生まれることは、協働の醍醐味の一つです。
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例えば、誰かが何かアイデアを持っていた時、それに耳を傾ければ、それは貴重な協働推進のエネルギーとなるかもしれません。
けれど、誰も耳を傾ける人がいなければ、日の目を見ることはありません。
一見取るに足らないような、小さな発言も大切に扱うことは、相乗効果を叶える上で不可欠です。
▶協働企画が、関わる人たち皆にとって「自分事」となる!
異なる主体に丁寧に耳を傾け、それぞれのアイデアや想いをキャッチし、それらを掛け合わせて新たな価値を創り出す時、その協働企画は関わる人たち皆にとって自分事となります。
各主体が、自主的に取り組むモチベーションとなります。
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想像してみてほしいのです!
突然提案された企画に一緒に取り組む場合と、自分たちの意見に丁寧に耳を傾けてもらい、それが少しでも反映された企画に一緒に取り組む場合、当然モチベーションが全く違うと思います。
後者の場合には、協働プロジェクトがスタートしてからも、互いに積極的に意見を伝えて一緒にプロジェクトを育てていく「共演者」となるでしょう。
▶協働プロジェクトの現場が呼吸し始める!
目の前の相手に興味を持ち、耳を傾け、尊重しながら対話を進めていくと、協働プロジェクトの現場はイキイキとしてきます。
それはまるで、協働プロジェクトの現場が「呼吸」を始めたような感じです。
活発な意見交換がどんどん生まれ、場全体が活性化します。現場から新たな芽が生まれることもあります。
詳しくは以下の記事へ↓
例えば「意見を出しても無駄だ」という諦めが現場に漂うと、協働はとてもつまらないものになってしまいます。
逆に、意見やアイデアを伝えて、一緒に考えていける余地があるという、未来への希望が共有されている現場は、躍動します。
▶協働の目的達成のための近道…!
以上のように、異なる主体同士で協働を進める時には、相手に興味を持ち、耳を傾けてみることが、とても重要です。
さまざまな意見を調整していくことは、回り道のように思えるかもしれませんが、実は協働の目的を具体的に実現するための近道です。
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2、協働で「耳を傾ける」ことの難しさ
協働において、耳を傾けることの効果をまとめました。しかし一方で、耳を傾けることには、いくつかの難しさも伴います。
協働において耳を傾けることの難しさと、対処法について考えていきましょう。
▶批判や不満をぶつけられる時
耳を傾ける姿勢を示すと、相手の中に今まで溜まっていた批判や不満が出てきて、たくさんぶつけられてしまうことがあります。
なぜこんなに怒りをぶつけられなければならないのかと、しんどくなってしまうこともあるでしょう。
このような場合に重要となるのが(実行するのはすごく難しいのですが…)、相手の怒りのエネルギーを上手くかわしながらも、発言の真意を探っていくことです。
相手の中に「本当はもっと現状を良くしたい!」という強い気持ちがあって、それが怒りとして噴出している場合に有効です。
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共感の姿勢を示しながら、丁寧な対話とディスカッションを試みると、実はお互い同じ方向を向いている者同士ということが、互いの間で認識できる可能性があります。
そうなれば、共に協働プロジェクトを進めていく、心強い仲間となれます。
なお、対立構造になってしまった相手との対話については、「交渉学」の知見を参考に、妥協点ではなく、互いのメリットが重なり合う部分を探すことが有効です。
詳しくは以下の記事へ↓
ただし、相手の主張を聞いていて、違う何かに対する怒りも一緒になって、こちら側にぶつけられているような時もあります。
そのような場合には、一定の線引きをして、別の話の部分については拾わないようにするなど、冷静な対応が必要となります。
▶話を聞いてほしくて依存される時
普段なかなか他者と楽しくおしゃべりをする機会がない方の場合、こちらが耳を傾ける姿勢を持つと、話を聞いてほしいという欲求がとても大きく膨らんでしまう場合があります。
相手が聞いてほしいと望むだけの時間、話を聞き続けることが難しい場合もありますし、依存されているように感じてしまう状況になる場合もあります。
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このような時、適度な境界線を他者との間に持つことが必要となります。
なかなか上手く線引きができず(まるで切り捨てるようで申し訳ない気持ちになり)、苦しくなる時もあると思います。
こういう時にはまず、自分自身を内観してみることをお勧めします。
自分の中にも、相手と同じように寂しくて話を聞いてほしい気持ちが眠っているのではないか?そんな自分を癒したいから、相手の話を聞こうとしているのではないか?
そのような自己対話を行います。自己の依存心の自覚です。
そして、自分自身の気持ちを、自分で理解し、癒しながら、自分が協働の現場に依存しないようにすることが必要となります。
▶責任転嫁される時
丁寧にコミュニケーションを取り、手がまわっていない部分があれば手伝い、上手く協働プロジェクトを前に進めようとすると、何でもやってくれて当然だと思われてしまうことがあります。
何か問題が発生した時、こちらの責任だと責められてしまったり…。
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こういう場合にまず認識しておくべきことは、相手の動きを先回りして代わりにやってあげることは禁物だということです。
自分は親切のつもりでも、相手の領域への侵入行為となるからです。
相手が余裕がなさそうで手伝った方が良いかなと思った場合には、「何かお手伝いできることはありますか?」などと声をかけ、きちんと相手から「依頼される」というステップを踏んでから手伝う方が良いと思います。
依頼されていないのに手伝う行為は、相手が本当に必要としていることなのかも分かりませんし、あまり建設的な関係性に至らない可能性があります。
3、協働では、人格が試される…!
以上、協働の現場で耳を傾けることの効果と、難しさとの両方をまとめました。
どんな仕事もそうかもしれませんが、特に指示命令で動く現場とは少し異なる協働の現場では、自分自身の人格がかなり試されるようなところがあります。
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それでも、時に苦しくなり、どうすればいいのか必死で学び、手探りし、試行錯誤を続けたりするプロセスを楽しむことができれば、協働はやはり喜びの方が大きいのではないかと思います。
私自身も、上手くいかずに潰れてしまったり、また起き上がったり、そんな風に模索を続けている一人です。
この記事が、同じように協働の現場で奮闘する方のお役に立てば幸いです。
※このnoteでは、各地での協働の推進を目的に、協働や協働コーディネーターについての一般論や考察、個人での地域との関わりなどを発信しています。(行政の職務上知り得た個別具体的な事例については書けませんので、ご了承ください。)