銀歯がかわいいので手術をうけました
近頃、私は毎日、患者をやっている。
外出自粛になり、運動不足を解消するために毎朝ヨガをやり、モリンガ茶を愛飲ほどには健康なはずなのだが、主治医(2歳児)によると、一、二時間ごとに注射と手術を要するほどには重病なのだそうだ。
病状は、主治医が勝手に決めているのだが、
本日のそれは「おなかからお歌が聞こえてくる」「両腕が折れている」「お口の中がかわいい」ということだった。
というわけで、検温、聴診器、注射、ピンセットとプラスチックの包丁による手術ののち、塗り薬三種、飲薬一種類を処方され、バンドエイドを巻かれて強制退院させられた。退院したら元気かというと、そう簡単に健康が戻ってくるわけではないようで、かくれんぼというセラピーを受けた。
ちなみに、お口の中のかわいさでいうと、ばあばの方が上らしい。(そりゃそうだ、ばあばの銀歯の数はとても多い)
30を過ぎて生まれてきた娘に、銀歯を褒められ、かくれんぼという名の心理療法を施されるとは。ただただ、面白くて、ケラケラ笑って今日が終わった。昨日はYoutubeを見せ過ぎた反省があったので、皿洗いも、掃除機も、明日やればいいことはボイコットした。それより、娘と向き合う瞬間、世界の混乱が一気に消えるような感覚が心地よかった。優しさと、ユーモアと、時に美しさと驚きがある時間の流れを、宇宙を漂うように、娘と私で二人で味わうことに専念したいと思った。
子どもの辞書に「未来」はないのだろう。ただただ、今だけ。遊んで、食べて、泣いて笑って、排泄して、疲れて寝る。そのなんと健やかなこと。
大人になると煩悩が増える。まさに病は気から。私には、その病を治してくれる医者がいる。2歳の、本質を見抜く主治医が。その幸福に、心から感謝したい。