【小説】SNSの悪夢
どうしたらいいか、彼女は考えていた。
彼が不倫したかどうかは如何でも良い、彼が不倫で騒がれて仕事が無くなる方が問題だった。
結婚する時に考えていた、誠実そうとか真面目に仕事に取り組むとか云うのは間違っていなかった。
それが不倫だって騒がれてしまった、不倫なんて仕事に差し障る事態は想定して居なかったんだよね。
でも、結局この問題が解決しない限り、私達の生活は安定しない、きっと安定した生活が出来ると思っていたのに、残念だ。
不倫をするなら、誰にも解らない様にして欲しかった、それだったなら私も家に居た。
状況を考えるともう離れるしかないと考えた、でも何もしていないと言い訳をするだろう。
顔を見て話したら、膨らんでいた疑念の風船の空気が抜けて、薄っぺらい皮しか残らないかも知れない。
だったら、離婚って言っても聞いてくれないんだろうな、私が嫌いになったからとは言いたくない。
だって、私は良い人でしょ、彼とうまくやってきたんだもん、我慢すべきところは我慢したよ。
これからを考えたら、きっとSNSで炎上したって言う状況だったと言えば、自分が離れる理由に成る。
堕ちていく人とずっと一緒に居る趣味は無いから、わざと火を投下してみたのは、炎上を止めたくなかったからだ。
一緒に居ても大丈夫とは言えないんだから、ゲームを早く降りた方が勝ちになる。
そう考えるのは、冷たすぎるのだろうか?
でも、これは自分を守るためなんだから誰もがしている話だ、だから私は悪くないのだ。
自分でそう言い聞かせて彼から離れた、でも連絡は無いから彼の方もそれ程一緒に居たいと思っていなかったんだろう。
女にとっても、若しかすると男にとっても結婚はギャンブルだ、予測のつかないギャンブルなのだ。
私はギャンブルで負けるのは嫌だ、だから直ぐにカードを捨てて降りた、愛とか恋とかって云うのは理想主義者の言い分だ。
そう、私は悪くない。
ここで問題になるのは、どうやって離婚するかだ、彼と会うのは面倒、だって会ったら、好かれていた自分を見せたい。
だけど、離婚してくださいって言わなければ為らない、何でって聞かれたらどう答えたら良いんだろう。
彼から離れて、仕事と家を探して、やっと落ち着いてきた、彼の方はまだ落ち着いて居ないだろう。
ここで、誰かに中に入って貰って、しっかりと離婚を突きつけよう、やっぱり弁護士が居るのかな?
お金が掛かりそうで大変だけど、他人に任せるのが最善なんだろうな。
そう考えて、いつの間にか早く離婚したい自分が居ると気付いた。