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【小説】SNSの悪夢
彼女は自分の笑顔を見て、驚きを感じている風な顔をした、きっと嫌な顔が見えると思っていたのだろう。
実際自分は嫌な顔で対応したい、偶々今日会って声を掛けただけで、知り合いでさえない。
マスコミに関わっていると言われたら、警戒しないでいる方が可笑しい。
それでも、これでも役者なのだ、嫌味の無い笑顔位、誰にでも向ける事が出来る。
彼女だって、何だか知らない男に笑顔を向けているのだ、驚くべきでは無いだろう。
「ありがとうございます、仕事は終わりました、大変かと言われたら、通常運転で。」ペロッと舌を出しながら、もう一度笑顔を見せる。
「朝の話をしたいけど、道で話すのもなんだから。」何処にしようかと考えて、言葉を切った。
「お顔を見られるのが嫌なら、個室にしますけど。」平気で満員電車に乗ってきた人間に何を言っているんだ。
陥れたい作為を感じて、直ぐに答えた。
「何処でも良いですけど、人が居る所が良いですね、男女が2人で個室に居れば何か言われるでしょう。」
「そうですか?私は気にしないですけど。」不思議そうに首を傾けて、話してくる。
きみが気にしなくても、こちらは気にする、この時代セクハラだなんだと言われたくない。
個室で2人なんて、嵌めてくれと言っているのと同じ、誰も見ていないからこそ、お互いに証明できない。
こっちは評判の悪い男だ、何故そんなのと1つの部屋に居たいと思うんだ。
「お腹空きません?何処かで何か食べないとペコペコ何ですよ、何食べたいですか?」さっきの言葉は忘れたみたいだ。
「ファミレスとかで良いんじゃ無いですか?周りに人も一杯いますし。」歩いて居てファミレスが沢山見かけた、そこで良いんじゃないのか?
「立花さん、私の事怖いんですか?取って食べたりしませんよ。」えりは面白そうに笑う。
普通だったら、知らない男と個室に入るのは躊躇うだろう、それが誘ってくるのだから、こちらとしては気味が悪い。
「怖くは無いけどね、知り合ったばかりの男と個室に入りたがる女は知らないんでね。」疑っているのを、教えておいた方が良いだろう。
「疑われても仕方が無いですけど、立花さんが襲ってくるところを記事にしたいと思ってるわけじゃ無いですよ、そんな生産性の無いことしても仕方ないじゃ無いですか。」宥める口調になる。
「週刊誌って生産性の無い記事も見受けられるからね、こっちも身を守らないと。」嫌味を吐き出す。
「そんな人ばかりだと良いんですけど、女とみると襲って良いんだと思う人間も居るから問題は深いんですよ、でも私襲われるとは考えてないんで。」
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