ちょっとした得
ツナ君は、月に一度名古屋の眼医者さんに行っている。
そのお医者さんは予約制で、次女が連れて行って、診て貰ってから、次の月の予約をしてから帰って来る。
少し前に、薬を数えて気付いた。
これって予約までにお薬足りないんじゃない??
これはイカーン、薬だけって訳にはいかない、どうしよう??と考えて次女に話した。
「このままやとお薬足らんよ、大丈夫?」
次女がサッと携帯を取り出し、じゃあ予約の日を変えるわと言って、電話を掛けている。
「どうやった??」電話を終えた次女に聞いた。
「大丈夫、大丈夫、変えてくれるって、元々何か有ったら直ぐに来てって、言われてるから、変更は出来るんよ。」と答えた。
そうなんやー、良かったな~、お薬間に合う。
「お医者さんが予約制だから、変えるのもお医者さん次第って感じみたい。」犬猫の眼科専門医って、その辺は自由なのかな??
今日は変更したその日で、朝から人間は忙しくしている。
実は今日は私も歯医者の予約がある、出掛けたくは無いが、先月の定期検診の時に、歯石が溜まっていると言われた。
「3か月待っても良いけど、出来たら来月来て貰った方が良いかも知れないですね、磨けてない所が在るから。」歯科衛生士さんが言った。
確かに歯磨きは雑かもしれない、行った方が良いか、そう考えて予約を入れていた。
夏は皮膚の病気は悪くなり易い、私のヘイリーヘイリー病もそうだが、汗が問題になったりする。
それでも行かねばならない、折角予約しておいたのだから、行かない選択肢は無い。
朝早く起きて、ツナ君の目薬と自分たちの朝食をして後片付けの間に、次女がトイレと風呂の掃除をしてくれた。
彼女はタオルに包んだ保冷剤をキャリーバックに入れて、ツナ君に入って貰う。
入って頂戴と言っても入らないので、2人で無理やりキャリーに入れる。
ツナ君は納得して居ないだろうが、彼の眼の為なのだ、『ガンバレ』と心の中で言っておく。
「行ってきます。」次女が特急の時間に合わせて出て行くと、私は慌てて掃除して出る用意だ。
いつもよりも大慌てで、玄関掃除も簡単に済ます、何時の間にか、毎日玄関拭き掃除してるから、今日くらいは良いかなんて言い訳をしている。
外に出ると。暑い、暑い、暑い、夏真っ盛りとはよう行ったもんだ、蝉の声を岩に染み入るって表現したのは、暑さゆえかななんて考えた。
夏だね~、夏ですね~、夏なんだね~、誰に言う事も無く独り言ちる。
外で働く人に敬意を表したい、私だったらへばる、40代位にはよく夏バテをした。
会社でクーラーの効く部屋での仕事も、クーラーの無い現場の仕事も有って、出たり入ったりしていると、駄目だ、何も食べれないとなる。
子供や夫には料理は作るが、自分はそうめんで良いなんて言って、食べられない日が続いた。
「スプリッツァーでも飲んだら、食欲湧くんじゃない?」次女に言われて、飲んでみてやっと同じものを食べた記憶がある。
今日は歯医者さんまでの10分位を早足で向かう事にして、暑さをやり過ごす。
歯医者さんに行くと、クーラーが効いてホッとする、ホッとはするがクーラーの外は暑い風が出されていると思うと、私の涼しいは世間の外気温の上昇だと思って罪悪感に苛まれる。
今日も健診をすると、又歯石が溜まっていたそうだ、「きれいに磨いているつもりなんですけどね。」と呟く。
「前の歯の咬み合わせが全然できていないから、汚れが溜まりやすいんですよ。」と説明して貰った。
そうなんや、じゃあこれまでも虫歯が多かったのは、そんな訳だったんだと、1人で納得していると、話が続いた。
「でもまあ、自分で気を付けて磨くと、綺麗にはなるんですけどね。」そうですよね、歯磨き選手権でドベになる自信しか無いもんね。
「髪の毛短くしようかな。」歯科衛生士さんが話し出す。
「私はいつも髪を纏めているんですけど、友達が切った方がさっぱりするよって言うんですよ、どうしようと思って。」うーん、正直似合うのがどっちかなんて言いたくないな。
私が切った方が良いって言って、その通りにして気に入らなかったら、責任持てないもんね。
私なら髪は伸びるしって言うけど、人に依っては泣くって聞いている、何時も行く美容院のご主人が実際に泣かれたそうだ。
「今日はすっきりする、バサッと切って。」と言われて、お客さんがうとうとしているのに切っていた。
ハッと気付いて、泣き出した。
「こんなに切るつもりなかったのに。」と言う訳だ。
人間感覚は怖い、誰かのバサッとは、他の人にはほんのちょっとって事もある。
美的な話で、感覚的な言葉はタブーだ。
でも5CM 切ったとかハッキリと言う人は居ないからね、と云うか何センチって良く分からない、こっちも感覚だよね。
「内山さんって何時も短いでしょ、纏めやすい??」と聞かれた。
それには答える事が出来る。
「普段は緩めのストレートパーマを掛けてるけど、今回は掛けて無いから、先はクルクルしてくるけど、概ね処理はしやすいよ。」
「そうかー、皆さんちゃんとしてるんだね、私はカラーを掛けてるとストレートパーマの時間が勿体なくて。」と返してくる。
「私、いまだに髪染めたこと無いよ。」と言っておく。
「えええー、私なんて染めないと真っ白なのに。」人間何処かで得している??ものだ。
私は髪染めをしなくて良いって言う得に成る。
人生何かしらお得は有るものなんだな、チョットだけニヤニヤしている。