理想の世界の為の政治って
若い時期に夫の会社の事務経理をしていて、仕事が中国に移管された時にはもうやれんな、と頭に浮かんだ。
夫の方は何とかなると思っていたらしく、チョット強気の発言もしていて、聞いてるこっちが胃が痛くなった。
経済評論家なんかは、利益が出ない企業は(中小企業ですね、大企業が利益無くても、仕方が無いって株売るだけだもんね)淘汰されるべきと自説を説いている。
確かに利益が無い企業は、止めた方が良いのだろう、だけど簡単にはい辞めますは製造業には許されない。
会社をしている時、親会社(○○電機)が中国に仕事を移管する話になった。
その時の話をよく覚えているが、古い昔の仕事は中国を製造拠点にして、日本では新しい仕事を創出しようと耳障りのいい言葉を担当者が言った。
それを聞いて、違う所から仕事を取ってくればいい、と感じる方も居られるのだろう。
だけど、我が社の仕事は電磁鋼板を自社で仕入れ、大企業が貸与してくれた型で抜く、抜いた鉄芯やトランスのコアを売って利益を出す。
書いていると簡単だが、大企業が貸与してくれた型が無ければ、仕事が出来ない。
型を作って勝手に売ると言うのも選択肢にない、型自体が何千万もして、作った物の売れなければ、投資するだけ無駄。
だからと言って勝手に止めたいと言うと、供給責任があるだろうと言う、じゃあ、殆ど移管して仕事が少なくなったから、見積もりを変えて欲しいと言うと、それは出来んと言う話だった。(実はこれ下請け取引き法違反である)
そんな時に消費税の増税があった、消費税は会社にとって大変だった。
何故なら、以前なら利益が無ければ税金は払わなくても良い(一部必要な物も有ったが)、それが消費税は仕入と売り上げの差額を払わなくてはならない。
なんとか利益を出そうと考えて、経費を減らすと、その分は消費税で無くなってしまう。
仕事も少なくなって、固定費が気になる様に為る、仕方が無い従業員に辞めて貰って、何とか凌ごうとなる。
消費税って絶対に給与を増やす方にはいかない税金なのです。
大企業はそんな小さい所は消え去ればいいと思っているのでしょうが、その中小企業がこれまでの製造やサービスを支えてきたんだよね。
日本の国は90%以上の中小企業が、大手を支えている、大手はそれで儲かっていても、中国なら、ベトナムなら、アフリカならもっと安く作れるかもしれないと出て行く。
勝手に経済植民地が出来ると思っているが、日本の中小は青息吐息で生きている。
これって大企業だけの問題では無い、実は中国移管の話が来た時に、部長クラスの方から言われた話が有る。
「何で、今頃中国行くんですか、今から行っても遅いでしょ、日本で新しい商品作ったらいいや無いですか。」と聞く。
「わるいなー、我々だけやったら、中国移管に反対する役員もおって、遺憾だかもしれん、だけど通産省がお前んところは行かんのか、行きやすい様に金も場所も用意するぞ、と言われたからな、国の方針なんや。」との答え。
これが本当かどうかは解らないが、そんな方向で国が動いていたのは確かだろう。
消費税で利益の少ない企業から搾り取って、大企業には海外進出を提案する、そんな政府になってたんやね。
そしてそれに抵抗できへん野党、何だか寂しいんよ、野党が政権奪取しても、省庁は変わらんかもしれんけどね。(実際民主の時を考えると)
昔、岡田氏が選挙前に挨拶にいらして、「各論では意見の相違が有っても、総論で自民を下野させると言うのなら、ぜひご協力ください。」と語ったのを思い出す。
あの時に言えば良かった、私たちの望みは単なる自民の下野では無かったのだ、多くの有権者の理想の世界を作るために、与党になって欲しかったんだと。
消費税で大企業が還付金で潤っていると聞くと、ああそうか、これも我々世代の責任だなー、と未だに与党に投票したことが無い自分は考えている。