【小説】SNSの悪夢
朝起きると、昨日の自分は無くなっている気がして、次の行動を考えている。
自分がアップした音声で、誰かが困った事態になってるのには、何の感情も湧かないのが不思議だ。
SNSの中は現実とは違って、もう1つの世界が形成されている気がしていた。
向かいのマンションの引っ越しも、電車で見た痴漢も、ゲームの中の事柄のようだ。
自分がそれで職を失ったのに、それも仮想現実に感じてくる。
妻と高級マンションに住んで、仕事をしていた時期が普通じゃ無かったのかもしれない。
普通がどんな物かも知らないのに、普通を語っても認識不足で分からないのも当然だ。
これからはリモートの仕事でも探せば生活は出来る、それが本当に自分を生かせているのかと考えなければだ。
何だか腹が減る、昨日は外食でつまみしか食べていない、酒は腹には堪らないからな。
こんな時は食べ物を食べるに限る、そこらを走ってから、コンビニにでも行って食べ物を買ってこよう。
腹さえ膨れたら、何もかもが上手く行きそうな気がする、人間は腹が満たされて居れば、自分を保って生きて行けるのだろう。
考えると直ぐに行動する、これは希望の仕事が無い時期からの習慣に成っている。
寝ていた時に来ていた服を、代わり映えしない服に着替えて、さて走るとするか。
ハッ、ハッ、ハッ、ジョギング程度に息を荒げて、マンションから駅の方まで走る。
自分とは違う意味で駅の方に向かう人達を通り過ぎて、どのコンビニに行こうか?
駅前には数件のコンビニがある、何処が良いとかはさほど興味ない、兎に角健康的な食事が有れば。
一軒に入ると、サラダやおにぎりが冷蔵庫に鎮座させられている、サア買っていきたまえと、呼び込んでいる様だ。
サラダとどんぶりを買ってコンビニを出る、帰りも走ると駅に向かう人間には奇異な目で見られる。
この時間に反対向いて走るのは珍しい、自分もサラリーマンならそう感じるに違いない。
走って家に帰るとすぐさま買ってきた物を開ける、コンビニは箸やお手拭きも付けてくれるから、何も必要は無い。
しいて言うなら生活の潤いは見つからないが、1人で暮らす人間にはドルが高いものだ。
食べながら、次の人間を探そうとする、次も女だ、少なくともそんな風に装っている。
これが中々見つけにくい、他の人間は割と早く見つけたのに、何だか鍵でも掛かっているみたいだ。
さて如何するかな?
食べつつパソコンを見る、これこそ一人の醍醐味だ、誰かと一緒だとこうはいかない、自分の状況をよく見せようと必死に頭で考えている。
いいなと思ったら応援しよう!
![内山祥子](https://assets.st-note.com/poc-image/manual/preset_user_image/production/ic3fd94079689.jpg?width=600&crop=1:1,smart)