【小説】SNSの悪夢
社長は自分の性格を良く分かって居るので、それ以上の言葉を出さなかった。
「最初は訴えても仕方が無い、金が掛かるだけだと思っていたんですよ。」説明する。
「ああそうだな。」社長の答えだ。
「だけど、調べていくと、彼女が関わっていたのが解ったんです。」それだけが問題だと言いたかったから強調した。
「間違いないのか?勘違いでは済まないぞ。」社長はいつも慎重すぎるほど慎重だ。
「社長は自分の前職はご存じですよね、前職で培った技術をもってすれば、直ぐに解りますよ。」自信をもって答えた。
「そうなのか???それは違法じゃないのか?」問題が有ると被るのが自分だと思って聞いてくる。
「ええまあね、でも大丈夫ですよ、弁護士に頼んで開示請求をすれば、すぐに解ります。」答えにはならない答えを言って於く。
「問題にならないなら良いが、本当なのかどうかも分かって居るのか?」まだ聞きたい事が有りそうだ。
「ええ、だから叩いていた人間の中に彼女が居るってのが解ったんですよ。」問題になる話は終わりだ。
「他に方法はないのか??争うとなると時間が掛かる、仕事が出来なくなるぞ。」仕事の心配は尤もだ、でも争うと言っても毎日裁判所に行く訳じゃない、行っても月1だろう。
「急に今日明日で裁判の日付けが決まる訳では無いでしょ、その時だけどちらかをずらしたらいいんですよ。」仕事の心配よりも、自分の悪い噂の方が気になるのは自分だけなんだろうか。
社長はそれで仕事に関わらないと思っているのか?何だかイライラして着ている。
「解かった、じゃあ弁護士に連絡する、勝手に調べた事については言わない方が良いぞ、法律違反だって事に成り兼ねないからな。」よほど気になると見えて、社長が反復して言葉を出す。
余程その問題が気になるらしい、自分のキャリアよりも会社の問題なのか、会社の社長としては正しいのかも知れないが、こちらは友人としても見ていたから、げんなりとした感情が芽生えてきた。
元々何故不倫だという話が週刊誌に載ったんだ、社長はそれにかかわって居る筈じゃ無いか。
大声を出したい気持ちを抑えて、ここは冷静に個人として対処しよう、会社と離れるのは何時でも出来る。
「解ってますよ、大丈夫です、ちゃんと考えてますから。」役者らしく落ち着いた声で答えて対応した。
「そうか、解った、弁護士の方は任せておいてくれ、知り合いに弁護士はいっぱいいるからな。」まるでその辺で湧いているような言い草だった。