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全国一律で最低時給1500円が必要よ
「ヤッパリさ、利益が出ないゾンビ企業が蔓延っているから駄目って事みたいよ。」と次女が話してきた。
2人で最低時給の話をしていた時だ。
同意するところも在るが、それは違うと言いたい所も沢山あって、その中小企業をしていたからこそ見てきた物が私にはある。
「ちょっと待って、日本の中小零細企業は全企業の90%以上だよ、それが市場からすべて撤退したらそれこそ大変な事に成る。」と反論した。
「だからさ、そのNHKの記者は国がソフトランディングさせればよかったんだと書いてるんよ。」と続けた。
ここに問題がある、国が市場を何とかしようと考えて、その方向に行くのは革新的な新しい仕事に補助を出したり、その研究の手助けをするからだ。
そんな事でもしなけりゃ、何処も新商品の開発や新たな生産などできやしない。
実際に会社で経営革新を取って、新しい商品を作ろうとしてお金を借りようとした時に、それまで経営革新を取ったらどんだけでもお金貸しすよと言っていた政府系金融機関の担当が嫌な顔をした。
「経営革新とったんですか。」ハ~と溜息が出そうな顔でこう言ってきた。
「私としては直ぐにでもお金を貸したいんですけど、上に聞いてみない事には。」
だったら最初から何をしても簡単にはお金は貸しませんと言えや、私は心の中で毒ずいていた。
そうなのだ、中小零細が新しい事業に着手するための元手は、簡単に借りられる物では無い。
利益が出ない中小企業は何故利益が出ないのか??
効率的な機械を導入して、もっと効率的で新しい事業活動をするのが良い、そんな事は百も承知だ。
それを阻むのは、お金と人員の問題だ。
お金は簡単には貸して貰えないのだし、人も簡単には雇えない、雇ったとして、その人の人生を受け止められる程の給与が出せるとは限らない。
そう考えると、国や県や市が補助金の形で革新的な事業をしたい中小零細企業に、お金を出さなけれなむりな話なのです。
そんな事を考えていると、娘が違う話をしてくる。
「それにしても、全国一律で時給1500円は必要だよね、だってさ、何処に行ってもUNIQLOは同じ値段やん。」続けて言う。
「そうやね、地代と生鮮食料品の値段の違い位かもしれんけど、生鮮食品はさその地方の捕れるものによって違うから、何処も平等やね、ガソリンも違うと言ってもそう大きくは違わんもんね。」と答えた。
明らかに土地の値段が違って、東京都に住むなら時給が高く無ければと言うのなら、国や都が地代の高い所だけ補助金を出せば良いだけなのだ。
全国一律で時給1500円になったら、中小零細企業は死ぬとか言う人も居る。
死なへん、死なへん。
こんだけ大企業と国に翻弄されてきて、それでも生きてるんやん、死なへん、これは私も中小零細企業の中に居たから解かる。
もしも国が全国一律で時給1500円にしたら、反対に言い訳が出来るのじゃないか。
昔の話だが、鉄鋼メーカーが一斉に同じ時期に同じ位の値上げを行った。
我が社はケイ素鋼板と云う特殊な金属を扱っていて、材料入手は限られる上に、値上げが影響するのは目に見えていた。
その時に材料商社の営業マンが来て、値上げについて面白い事を言ってきた。
「社長(元夫)、今がチャンスですよ、今迄取引先に人件費が上ったと言っても、お前んところの問題やろって言われてますたやろ、それがね全国的なニュースで全部の材料メーカーが値上げしたら、そうか今話題の値上げねって認められやすいじゃ無いですか、今ですよ、今。」
確かに取引先の大企業は、ちょっとした賃上げなどは自分の所で何とかしろという、でもニュースになる位の値上げは飲まざるを得ない。
これってさ、今回の全国一律で時給1500円ってのにも当てはまるんじゃ無いのかな?
ここで国が腰を引いて、賃金は上げてね、国は何もできないけどと言うスタンスを止めて、最低自給1500円は絶対だと言えば、中小零細企業は取引先に値上げ交渉をするチャンスになる。
それでも値上げしてくれないのであれば、餓死して死ぬか(例えです)ガリガリにやせ細ってでも、その大企業と付き合うか考え直した方が良いと思う。
中小零細企業は沢山のバイトで食いつないでいるフリーターとよく似ている。
時給の低い仕事を沢山掛け持って、他人よりも仕事をして、自分の将来や次の手なんて考えられない。
それでも、生きる為には自分の時間と体力を削って、仕事をするしかない、そうで無ければ生活が出来ないからだ。
フリーターなら借金は少ないかも知れないが、企業は運転資金や新規投資の為に借りている金額は大きい。
お金を返す為には、利益に為るかならないかの利益率の低い仕事でも、して行くしか無いのだ。
但し、今の日本の現状で賃上げして本当に手取りが上るのか?という疑問が残っている。
賃上げしても税金や社会保険という名の税金相当金にお金を取られたりしたら、そこはもう企業の問題でさえない。
国はそれをどう考えて来たのか?どう考えているのか?
何だか不安である。
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