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沖縄の伝統工芸、やちむんを探す旅|沖縄の思い出

”やちむん”という沖縄の工芸品に出会い、心を掴まれたのは、
たしか今から6年前くらいの頃だったと思う。

初めて沖縄にいったのは22才くらいの時で、
飛行機から沖縄の地に降り立った瞬間から感じる
異国な雰囲気に圧倒され、
のんびりとした島国の人たちに心を奪われた。

人も、景色も、建物も海も、
そして伝統も、なんて素敵なところなのだろう。


あっとゆうまに、沖縄という場所にどっぷりハマってしまい、
有給を駆使しながら、年に4回ほどは足を運んでいた。


そして、何度か沖縄へいくうちに、
青が鮮やかで温かみのある陶器の良さをしり、
心を鷲掴みにされたのが、
わたしとやちむんの始まりなのである。



”やちむん”とは、
沖縄のことばで「焼き物」のことをあらわす陶器のこと。
沖縄がまだ”琉球王国”だった時代からある、伝統工芸のことだそうだ。

そんなやちむんの魅力に取り憑かれて、
私は毎年、12月か2月に開催されるやちむん陶器市にあわせて沖縄へ足を運んでいたけれど、
昨年(2019年)の12月は、仕事の都合で休みの希望日と陶器市の開催日の日程を、上手に合わせることができなかったし、
今年(2020)の2月は、繁忙期真っ只中だったので、
前々から休みは取れないだろうということとは、わかっていた。


うーん、どうしたものか。


このままじゃ、12月も2月も陶器市にいくことが出来ない。
最近では海の沖縄よりも、陶器市のために沖縄へ出向いていたようなものなのに。

陶器市にはいけないけれど、
新しいやちむんとの出会いが欲しい。

と諦めきれず、
仕事が繁忙期に差し掛かる前、
つまりは2月の陶器市を待たずして、
まだ寒い冬の沖縄へ、お気に入りの陶芸家さんや工房や窯を巡る旅へ行こうを決めたのが、この旅の始まりである。


ちなみに先に結果をお伝えすると、
陶器市では知ることのできなかった、それぞれの陶芸家さん達との交流もでき、この旅は大成功で終わった。


そして、出会ったやちむんの陶器がなんとも可愛くて
美しいものたちばかりで、本当にいい旅になったので、
家に帰ってからフィルムカメラでじっくり、ひとつづつ丁寧に写真を撮った。
せっかくなら、誰かに見てもらいたいなと思ったので、
ここで紹介していこうと思う。

ちなみに、結局今年の2月に開催予定だったやちむん陶器市は、
この”流行”(はやり)のできごとで、中止になってしまったそう...



深みのある青い器|井口工房


やちむん探しの旅の当日は、那覇市でレンタカーをピックアップし、
それから1時間ほど車を走らせ、北谷(ちゃたん)でモーニングを楽しんでから、やちむん探しの旅をスタートさせた。

夫はもともと、沖縄にもやちむんにも、あまり興味のある人ではなかった。
どちらかというと、沖縄よりも北海道が好きで(美味しいものとお酒に囲まれてるのが好きな人なので)、好みが真逆だったりする。

それでも、私と付き合うようになってから何度か沖縄へ訪れるようになり、
自然と夫も沖縄とやちむんのことが好きになった。
そして夫がこの旅で『一番、行きたい!』と熱望していたのが、
井口工房さんである。


ちなみに、今回の旅はやちむんの里を中心とした読谷村エリアを巡る旅の予定だったので、
モーニングを楽しんだ北谷から、読谷村エリアに向かうまでの間で
一番初めに井口工房さんを通ることになる。
そのため、もし同じように那覇方面からスタートするのであれば、
はじめに訪れるがおすすめである。


この日、私たちが初めて訪れる井口工房さんの場所は、
ちょっと道が入り組んでいる住宅家にあった。
夫婦共に日常的に運転をしないことと、沖縄の住宅街は狭くて入り組んでいるので、工房がオープンする時間よりも余裕を持って出発をしていた。

順調に車を走らせ、工房の近くまではくることが出来たけれど、
工房の入り口が見つからない。

実は、余裕を持って出発をしたけれど、順調にきてしまい、
到着した時はまだ工房がオープンされる10分ほど前だったので、
看板が出ていなかった。

グーグルマップやネットで検索しても、この辺りにあるということは確かではあるが、
なかなか入り口を見つけることが出来ず、うろちょろ。

「うーん。この辺りのはずなんだけど。。。。」
「ここかな?通れそう?これ、車でいける?」

なんて夫とやりとりをしていたら、
ちょうど工房のご主人が看板を出し、うろちょろしている私たちに気がついてくれた。「うち?」と、にこやかに手を降ってくれる。
「井口工房さんを探してて。。。」と相談すると、
「あ!うちだよ!ちょっと待ってね、ぐるっと回ってきて!」
と、工房まで案内をしてくださるという奇跡が。

さらには運転があまり上手とは言えない私たちの駐車のアテンドまでしてくれるご主人。
沖縄の暖かさを感じた瞬間だった。


ちなみに工房の前では、可愛い猫がお出迎えしてくれて、
さらに工房の中では、ご主人の可愛いお子さんたちもお出迎えしてくれたので、
全世界の癒しというものが、この工房の空間に詰まっていた。


やちむん1


工房の中には、壁に綺麗な陶器が並べられていて、
中心に大きなソファと机が用意されていた。
なんだかお家のような、落ち着く空間だった。

「これ、可愛い」「このサイズ、欲しかった」
「あ、これ家にあるものと同じサイズだね」
なんて、30分ほど悩みに悩んで購入したものは、全部で3点。


やちむん7


やちむん10


副菜を入れようと、四角くて底が深めの陶器を、ひとつ。
我が家でもすでに活躍している小皿を、柄違いでひとつ。
そして、サラダでも煮物でも、万能に使えそうなお皿を、ひとつ。

井口工房さんの器は、
明るい白色と、深い沖縄の青のコントラとがかっこよく、
やちむんの陶器の中でも、ちょっと薄めのお皿が上品さを醸し出している。

私がコレクションしているやちむんの中で、
この青が一番お気に入りなのである。

どんな食材でも、どんな料理でも、”っぽい”雰囲気を出してくれるのが、井口工房さんの食器の魅力だと思っている。



重厚感のある、小さなお皿|北窯(やちむんの里)


井口工房さんを出て、次に向かったのは読谷村(よみたんそん)の中心にある”やちむんの里”。
ここは、いくつかの窯や工房が一体となっているエリアで、
それぞれ異なるやちむん作家さんの作品を一度に巡ることができる。

その中で、お目当てにしていたのが、北窯の器である。


やちむんの里の奥の方に工房を構えていて、
デザインや種類が豊富なので、いつ来ても、絶対に何かしら欲しいものが見つかる。

やちむん3

取皿サイズの小さなお皿だけれど、かなり重厚感のある2皿。
深みはないので、汁物を入れてしまうとこぼれてしまいそうだけれど、
例えば、取り分けたカットケーキなんかもきっと合う。

他にも、ほうれん草の煮浸し、かぼちゃの煮物なんかも、きっと合う。
れっきとしたやちむんだけれど、やちむんっぽくないような、昔からのやちむんのような。
なんだか懐かしい気持ちにさせてくれる。




諦めていたコーヒー豆柄のお皿|読谷村共同販売センター


やちむん陶器市が開催されると、オープンと同時にほとんどの商品が売り切れてしまうほど、とても人気なやちむん作家の作品がある。

コーヒー豆柄の食器で有名な、工房十鶴さんのやちむんもそのひとつ。


工房十鶴さんは、”販売工房”をしていないこともあり、なかなか手に入らない。だから、やちむん陶器市で購入することが多くなる。

ただ、今回の旅やちむん陶器市ではないので、
工房十鶴さんの作品を購入することがむずかしいなと諦めていたのだが、
ダメ元で調べてみると、やちむんの里からすぐ近くの
読谷村共同販売センターで作品が置いてあるかもしれないという情報を入手。

「期待しすぎては、ダメだぞ」と自分に言い聞かせながら向かった先には、
工房十鶴さんのコーヒー豆のお皿が残り1枚。
夫が見つけてきてくれたではないか!

こればっかりは、
「夫よ!よくやったぞ!」と感謝してもしきれないほどの感動。

そして夫も、それはそれは大切そうに、
その残り1枚となっていたお皿を胸に抱えて店内を見て回るという、
ちょっと不思議な夫婦になってしまったのは、今思うとすこし恥ずかしい。


やちむん5


それにしても、陶器市でさえなかなか手に入れることが出来ないのに、
ここにきて購入することができることに、運命的な出会いを感じるのは、ここが沖縄という伝統的な土地だからなのかもしれない。

ちなみに、コーヒー豆柄ではないけれど、
工房十鶴さんの他の作品にも一目惚れしてしまい(夫も絶賛した)、
大物のお皿を追加で2枚購入した。

そういえば、もともとこの旅ではカレーなどを入れるような大皿の器を探していたんだっけ。

旅は何があるかわからないから、面白いな

と、改めて愉悦を味わった。

やちむん6


余談ではあるけれど、
読谷村共同販売センターの隣にあった、
沖縄料理屋のゆいまーるが、閉店してしまっていた。

美味しくて、量も多くてお気に入りだったお店がなくなってしまって、淋しい気持ちも一緒に連れて帰ってきた気がする。
いつもあると思っていても、ずっとということはない、ということなのかな。


おまけに


やちむん8

実は、工房の名前を忘れてしまったけれど、
小さくて可愛い、蓮根の箸置きも我が家に連れて帰ってきた。

ひとつひとつの形が異なり、それぞれいい味を出している蓮根。

他のやちむんの食器とよくあっていて、お気に入りの一つである。

今回の旅のように、直接作家さんの工房へいくことで、
じっくり作品と向き合うことができ、悩む時間だったり、今あるお皿との相性、どんな料理をこのお皿にのせようかな、みたいにゆっくりイメージしながら選ぶことができる。

陶器市も大好きだけれど、
工房、窯めぐりもとても素敵な時間だったな。


また、この”流行”が落ち着いた頃に、
やちむんを探す旅に出たいなと、思っている。


そして、来年はやちむん陶器市が開催されることを祈って。

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sai||三度のご飯と旅が好き
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