なんでもない場所のなんでもない店のなにものでもない僕

〜序〜

もう18になる。

最近では、成人とも言えるわけだ。

いろいろやりたいこともあったし、やってみることが出来たこともあった。

都会育ちではない…かと言って田舎が売りと言うほどでもない、自然豊かな観光地というわけでもない。

なんでもない場所、いわば中途半端な田舎である。

この街とも言えない町でいろんな人と出会ってきたわけです。

生まれたばかりの時からくらべるとかなりゆるいたたずまいになったように思う。

…なんのはなしか?

私が生業の拠点であり、生きる為であり、また、活きるためにも不可欠の場所の話である。

中途半端な田舎で中途半端な店が中途半端ながら短くない年月を経る。

私は今年47になる。

18年前は28。

まだ若いと言われるとしに飲食店を開業した。

長いと言えば長いが、まだまだとも思う。

老舗と言うには短い。

新参者とはとても言えない。

そう。

中途半端な田舎で今なんとも言えない中途半端な年を重ねた、中途半端な店の話を綴ります。

もともと僕は

なんも取り柄もなかった少年。

僕は間違いなく優れた人間ではなかった。
小学生の頃は自他共に認める勉強の出来ない子だったわけです。かと言って運動神経が良いわけでもなければ、ひょうきん者なわけでもない。特に取り柄のない小学生でした。

取り柄のない=自信がない…と言うわけで、ちょこっと暗い男の子だったわけです。
小さな頃から、背は高い方でかなり細身でした、そして暗い…

まさにもやしっ子だったんですよ。

暗い男の子には、暗い男の子の友達が近くにいるもので、近所の漫画好きの男の子とよく遊んでたんですがね、その彼は漫画を読むだけじゃなく、かなり上手に絵も描けたりしたわけです。

その子も勉強や運動は苦手でしたが、図工の時間に先生に

人間何かしらの取り柄がある。

なんてことを言われてました。

はて?

同士だと思ってた彼には、しっかり取り柄があったわけです。

私は?

私の取り柄は?

などと考えても全く検討もつかなかった少年でした。

そしてこの取り柄のない少年だからこそたどり着いた今の私の思いの原点に出会えたのかもしれません。

私は今も賢くないわけで、昔から記憶力というものが乏しんですがね

ところどころ鮮明に覚えてる部分があるんです。

その一つが小学生の頃見たドラマなんです。

日曜日8時のドラマ。


このドラマの主人公竹本孝之さん演じる高杉勇作は、一生懸命の人を見ると応援せずにいられない性格で一生懸命の人を一生懸命応援するんですよ。

竹本さんがかっこよくてね〜〜

憧れましたよ。

そしてそのドラマを見て思ったんです。

応援なら、僕も出来る!

憧れの主人公に影響を受け、頑張る人を応援するってなんかを良い!なんて思ったわけです。

この思いは40年ほど経った今でも私の中心に置いてます。

取り柄のない分人の優れた部分が輝いて見えてたわけですが、それはその人の良い部分を探すことに長けてるとも言える、そして人の長けてる部分ってものは、多かれ少なかれその人が頑張ってる部分なんだと思ったんです。

そんな人の良い部分を影ながらというか、こっそり応援し始めました。

そして嫉妬心ばかり持ってたのに、その人の良い部分を素直にすごいと認められるようになっていきました。

今でも思うんです。

どんなに優れた才能があったとしても、なんにも頑張らない人にはその才能が花開くことはない。

だからこそ優れた部分を妬まず、羨まず。まず認めることこそ大切なんだと。

認める力を身につけた僕は人の良い部分をリスペクトし、そこから影響され、ちょっとでも見習うことを考えていきました。

なんにもないという状況はいろんなものを得れることにも繋がるわけです。

とはいえ子供時代憧れで影響を受けても自信のない少年は、すぐ諦めたり飽きたりしてしまうのでした。

キャプテン翼に憧れサッカーをやる。
しかし自分には才能がないと思い込み努力というものをしない。

先ほど描いた漫画の上手い友人の影響で漫画を描いてみる。
自分には絵心などないのだと決めつけ飽きてしまう。

そんな卑屈で諦めの早い少年はあるはずの才能も見つけ出せるわけではない。

そんな中、成長とともに自尊心が現れてくる。

自信のない少年が自尊心は見栄を張ったりすることを覚えていく…

見栄…対してわかりもしないことをあたかもわかった風味で語ったり、出来もしないことにも講釈をたれり…しかし、稀に理論めいた講釈や、知ったかぶりな知識がなぜか周りから褒められたりした…

しかしさほど知識があるわけでもないのにちょっとのことで褒められたりしても喜べやしない、まして自信につながるはずもない

そして、またまた、自分が好きではなくなる。

とまぁ少年時代は自分があまり好きではない子だったわけであります。

唯一と言っていい身につけた才能は

人の凄さを認めること。

しかしそこは今の自分に大切な心をもたらしてくれています。


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