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グロース市場の可能性を解き放つ:イノベーションと多様性の力

円安をはじめとした為替の大きな変動や新NISA(少額投資非課税制度)への注目など、経済への関心が高まっています。
こうした中、日本経済の将来を左右する重要な要素の一つとして、グロース市場の動向が注目されています。

日本のグロース市場の現状

日本の新興市場、いわゆるグロースマーケットは、ここ数年低迷が続いています。東証グロース指数250の推移を見ると、その実態が明らかになります。

東証グロース指数の低迷

2024年5月17日、東証グロース指数250の終値は、2023年10月以来7カ月ぶりの安値を記録しました。
10年前の2014年5月の終値が777.15円であったことを考えると、この10年間で日本の新興企業が十分な成長を遂げていないことは明白です。

この状況が続けば、イノベーションの創出や経済の活性化に深刻な影響を及ぼすことは必至であり、新興企業の成長なくして、日本経済の持続的な発展はありえません。

米国株式市場とのパフォーマンスの差

日本のグロース市場の低迷が際立つのは、米国株式市場との比較においてです。米国では、ナスダック総合指数が示すように、株式市場が力強い成長を続けています。
背景にあるのは、米国企業の積極的なイノベーション推進であり、特に人工知能(AI)や自動化といった分野では世界をリードしています。

一方、日本企業のイノベーションの取り組みは十分とは言えず、NASDAQと東証グロースの株価推移の差は歴然としています。

NASDAQ(オレンジ)と東証グロース(青)の成長の差は一目瞭然です

海外の成長市場の取り込みが急務

日本の経済全体に目を向けてみると、名目GDPの伸び悩みが懸念されます。IMF(国際通貨基金)のWorld Economic Outlook(世界経済見通し)のデータによると、ASEANの経済規模が近い将来、日本を上回る可能性が高いことが明らかになっています。

via 日本とASEAN、脱「上から目線」で BtoB連携探れ

IMFの予測では、ASEAN加盟10カ国の名目GDPの合計は、2026年までに4兆7000億ドルを超え、日本の経済規模を追い抜くとされています。この予測が実現するためには、ASEANが2024年以降も年7%台の高い名目成長率を維持する必要がありますが、現在のASEANの経済成長のペースを考慮すると、日本とASEANの名目GDPの逆転は、高い確率で起こると見込まれます。

この状況に対応するためには、日本企業がグローバル市場でのプレゼンスを高め、海外の成長市場を取り込むことが不可欠です。そのためには、現地の文化や商習慣を深く理解し、消費者のニーズに合った製品・サービスを提供することが求められます。また、多様な視点を経営に取り入れ、イノベーションを促進することも重要です。

日本企業は、海外市場での競争力強化に向けて、ダイバーシティ&インクルージョンを経営戦略の中核に据えることが求められます。これは、ASEANを始めとする海外の成長市場に効果的にアプローチし、持続的な成長を実現するための重要な鍵となるでしょう。市場の活性化に向けて、官民一体となった取り組みが期待されています。

日本経済の国際競争力

グロース市場の低迷は、日本経済の国際競争力に大きな影響を与えています。世界経済のグローバル化が進む中、日本企業がイノベーションを通じて競争力を維持・強化することは不可欠です。この点で、最近注目を集めているのがNTT法改正の動きです。

NTT法改正の意義

NTT法は、日本の通信事業を規制する重要な法律です。今回の改正では、NTTの研究開発体制の見直しや、グループ経営の柔軟化などが盛り込まれています。

出典:改正NTT法が成立、研究成果の開示義務を撤廃

NTT法改正がこのタイミングで行われる背景には、日本の経済や社会の現状、国際情勢の変化が関係しています。

1. デジタル化と技術革新の加速
世界中でデジタル化と技術革新が急速に進展しています。新しい技術(例:5G、AI、IoTなど)が次々に登場し、企業はこれらの変化に迅速に対応する必要があります。NTTは日本の通信インフラを担う重要な企業であり、これらの技術革新に適応し、先端技術を取り入れることが求められています。

2. 国際競争力の強化
日本の企業は国際市場で競争する必要があります。他国の企業はグローバルな視点を持ち、多様な戦略を用いています。NTTも国際競争力を強化するために、国際的なビジネス展開やネットワークの構築が重要です。これにより、NTTは世界市場での地位を高め、競争力を維持できます。

3. 日本の経済改革とデジタル政策
日本政府は経済改革の一環として企業の国際化と多様化を推進しています。また、デジタル庁の設立など、デジタル化を促進する政策も進められています。NTT法の改正は、これらの政策に対応し、NTTが柔軟で効率的な経営を行えるようにするための措置です。これにより、日本のデジタルインフラの強化と経済成長が期待されます。

外国人役員の登用

国際競争力の強化に向けて、三菱電機やソニーグループなどの大企業も積極的な動きを見せています。

日本企業の国際競争力を高めるためには、多様な視点と経験を取り入れることが欠かせません。その意味で、外国人役員の登用は重要な意味を持ちます。しかし、現状の日本企業における外国人役員の割合は、欧米企業と比べて著しく低いのが実情です。

日本企業における外国人役員の現状

株式会社東京証券取引所のデータによると、TOPIX100の取締役1,039人のうち、外国人取締役(社内・社外含む)はわずか68人(6.5%)にとどまっています。この数字は、日本企業における外国人役員の登用が十分に進んでいないことを示しています。

株式会社東京証券取引所 コーポレート・ ガバナンス白書 2023

グローバル化が進む中、日本企業が国際市場で競争力を維持するためには、多様な背景を持つ人材の活用が不可欠です。外国人役員は、その出身国の文化や商習慣に精通しており、グローバルな視点から経営戦略を立案することができます。
また、外国人役員の存在は、社内の意思決定プロセスに新たな視点を取り入れる効果もあります。

欧米企業との比較

日本企業における外国人役員の割合の低さは、欧米企業との比較で際立ちます。2023 Japan Spencer Stuart Board Indexによると、英国企業では35%、フランス企業では37%の取締役が外国人です。

欧米企業がこれほどまでに外国人役員を登用しているのは、グローバル市場での競争力強化を目指しているからに他なりません。日本企業も、こうした欧米企業の取り組みに学ぶ必要があります。

多様性の重要性

外国人役員の登用は、ダイバーシティ経営の一環でもあります。性別、年齢、国籍などの多様性を尊重し、それぞれの強みを活かすことが、企業の持続的成長につながります。

マッキンゼーのレポート Diversity Wins: How Inclusion Matters によると、「経営陣における文化的・民族的ダイバーシティスコアが上位25%の企業は、下位25%の企業と比べて利益率が36%高かった」という調査結果があります。これは、多様な視点や経験を取り入れることが、企業のパフォーマンス向上に直結することを示唆しています。

via Diversity Wins: How Inclusion Matters

また、同レポートでは「グローバル企業にとって、多様な市場ニーズに対応し現地の知見を活用するためには、経営層の国籍ダイバーシティが重要である」とも述べられています。グローバル市場で競争力を維持・強化するためには、現地の文化や商習慣を理解し、それに適応した戦略を立てることが不可欠です。外国人役員の登用は、そのための有効な手段の一つと言えるでしょう。

Google、Microsoft、トヨタの事例

Googleのスンダー・ピチャイCEOやMicrosoftのサティア・ナデラCEOなどのインド出身のリーダーが有名ですが、トヨタもダイバーシティ経営で実績を挙げています。

その代表例が、2015年にトヨタ自動車初の外国人取締役副社長に就任したフランス出身のディディエ・ルロワ氏です。2018年から2019年の厳しい自動車市場環境下でも、トヨタは2019年にグローバルで971万台を販売。バランスの取れた事業展開により、落ち込んだ市場を他の市場の販売増でカバーし、安定成長を続けています。

ルロワ氏のような外国人役員の存在は、トヨタのグローバル戦略の要であり、海外事業拡大に不可欠です。

日本企業の国際競争力強化には、多様な人材が活躍できる環境整備が急務。グローバル化が進む中、文化的多様性への理解が欠かせません。外国人役員の登用を進め、ダイバーシティ経営を推進することが、持続的成長につながるでしょう。

日本企業の成長支援

私は、日本企業の成長を支援することを自らの使命と捉えています。上場企業の役員や顧問として、また、セミナーや視察旅行の企画を通じて、日本企業の競争力強化に取り組んできました。

世界経済理解のためのプログラム

日本企業がグローバル市場で成功するためには、世界経済の動向を的確に把握することが不可欠です。そのために、私は上場企業の経営者を対象とした視察旅行を企画してきました。

via DIWALI INDIA TRIP WITH SACHIN AND JIN

例えば、インド経済の理解を深めるための視察旅行では、現地の企業や政府関係者との交流を通じて、参加者はインド市場の可能性と課題を肌で感じることができました。こうした経験は、グローバル戦略の立案に大きな示唆を与えてくれます。

私は、今後も世界各国の経済状況を見据えた視察旅行を企画していく予定です。日本の経営者が世界経済の潮流を掴み、グローバル市場で勝ち抜いていくための一助となれば幸いです。

東証グロース企業でのセミナー実施

また、直近の活動として、東証グロース市場に上場する「売れる広告社」では、営業力強化を目的としたセミナーを実施し、社員の意識改革と実践的なスキルの向上を図りました。

株式会社売れる広告社にてセミナーを実施

これは、私が力を入れているセミナー活動の一例です。東証グロース市場に上場する企業を中心に、営業力強化や経営戦略の策定など、様々なテーマでセミナーを実施しています。
また、これらの企業に対して、顧問としてより直接的な形で関与し、成長を後押ししています。

日本企業の成長支援は、私にとってのライフワークです。微力ではありますが、日本経済の発展に寄与できるよう、尽力を続けていく所存です。

日本経済再生へのミッション

私は、日本経済を再び世界の中心に押し上げることを使命と捉えています。そのために、海外の知見を積極的に取り入れることが欠かせません。
私自身、インド出身の投資家として、外国人の視点から日本企業の強みと弱みを分析し、グローバル市場での競争力強化につなげる提案を行ってきました。

外国人の知見の活用

こうした外国人の知見は、特に日本企業が苦手とする海外市場の開拓やグローバル人材の育成などの分野で効果的です。外国人投資家や経営者との連携を深めることで、日本企業はグローバルな視野を持った人材を確保し、世界市場での成功を手にすることができるのです。

日本と海外の架け橋としての役割

私は、日本と海外の架け橋としての役割を果たすことを目指しています。日本企業がグローバル市場で成功するためには、海外パートナーとの強固な関係構築が不可欠であり、文化や商習慣の違いを乗り越え、win-winの関係を築くことが求められます。

PIVOTやその他の経済番組への登壇も、私にとってはそういった「架け橋」の活動の一環だと考えています。

日本経済の再生には、外国人の知見やリソースの活用が欠かせません。私自身、日本企業の成長支援に携わる中で、海外の視点から日本企業の強みと弱みを分析し、グローバル市場での競争力強化につなげる提案を行ってきました。こうした外国人の知見は、特に日本企業が苦手とする海外市場の開拓やグローバル人材の育成などの分野で効果的だと感じています。

日本と海外の架け橋となり、皆様と共にグローバルな舞台で活躍できる日を夢見ています。
一緒に、日本経済の新たな時代を切り拓いていきましょう。

Unleash Japan's potential, embrace the world stage!


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