「もしもし?」と アプリコット と ラマダン
日本語の「あ、もしもし?」の中に、アラブの人達が「面白いね!」と喜ぶ音があります。それは、「もしもし」。アラビア語の「ミシミシ(杏子、アプリコット」と似た響きだからです。
もしお近くにアラビア語を話す人がいたら、
言ってみてください。
「もしもし?」
きっと、笑います。
さて、アプリコット、と言って思い出すのは、ラマダンで断食を明けて飲むアプリコット ジュースのこと。一年中作れますが、断食明けに頂く美味しさは格別です。
ラマダンとは、月の満ち欠けによる旧暦(ヒジュラ暦)で第9月の意味です。
先日の美しい満月を経て、
次の新月を迎える時、
ラマダンが始まります。
今は準備期間、日本のお正月を迎える前の師走に大掃除という雰囲気です。
ラマダン中は太陽が昇ってから沈むまで、一切の食べ物や飲み物を断ちますが、断食以外にも喧嘩や悪口などもご法度です。
空腹で1か月間(新月から新月まで)生活する中で、大切にする事とは
人に優しくすること
助け合うこと
普段の忙しい生活の中で見落としがちな事を、見つめよう、見直そう、と努める月になります。
普段は、食べ物の好き嫌いも言いますが、
究極のお腹が空いている時には、
目の前にある食事を感謝して頂く以外に選択肢はありません。
ケンカも悪口もご法度ですから。
食べれたら何でもいいのかって?
いえいえ。
食べれるタイミングが少ないので、
ひと匙ごとに、身体が喜ぶ様に食事を頂くことが、
次の日のエネルギーになります。
それだけに、何を作るかも重要です。
断食を明けて食べるもの
まずはデーツとスープ。
サラダ
テシュリーベ:鶏肉か羊の野菜煮込みにアラビックパンを浸したもの。(埼玉県の郷土料理、煮ほうとう、の様な食感)
ジュース
そして、もう一度デーツ。
デーツは、1個か3個か5個というように、奇数の数頂くのが吉。
ゆっくり一口ずつ、焦らず焦らず
身体に入れます。
普段のアラビア料理は油と塩分が美味しさの肝ですが、
この時ばかりは、そうもいきません。
油の多いご飯では、胃がキューッ痛みます。
味が濃いと、すぐに食べれなくなります。
自分の普段の味付けが、どれほど濃い味なのかを見直す機会にもなります。
例えば窓の掃除も、やってみないと
どのくらい汚れていたかに気付かない様に。
ラマダンは、心と身体のお掃除期間なのかもしれません。