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【掌編小説】 僕以外の
喜ぶ…怒る…哀しい…楽しい…死にたい…。
自分にとってそれらは、ごく自然な感情の一部だ。いつもなら、逃げたい、とか、消えたい、とか、蒸発してなくなりたい、とか、はじめから自分は存在しなかった世界であればいいとか、そんな感じの気持ちなのだけれど、今日に限ってはちょっと違って、自分を殺してやりたいとかいう、攻撃性を帯びた感情に苛まれているのである。なぜかそこに憂鬱さはなく、殺される自分よりも殺す自分をイメージすることで、どこか知らないところに立ち止まらないように、なんとかして家に帰ってくる。
ああ、どうして自分は生きているのだろうと考えていると、自分の人生に意味を見出そうとしているのかとか、自分はこの世界に貢献できると思っているのかとか自問して、いやそれは自惚れているんじゃないかと思い、なぜここに存在させていただいているだけで感謝できないのかと、さらに自分に腹が立ってくるのである。
こんなことを書き綴っているということは、明日も生きようと決意しているからだろうと、頭の中ので仙人のような人が呟き、それで今度は情けないような気持ちになってくる。死にたくてたまらないのに生きたくもある自分を、今晩は愛おしく思ってもいいのでないか。相反する気持ちを、どちらも認めてあげていいのだと誰かが言った。泣け。泣け。生きることも死ぬことも棚上げにして眠ろうか。みんなが幸せであってくれたらいい。
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