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通り過ぎて気になって、もう一度探した虫の話

公園に入って少し歩くと、道で何かキラキラ光ってる。明らかに何か違う。遠くからでも分かる。石じゃない。ものすごく光を反射する何か。緑色の光。緑のライト?きっと子どものオモチャだろう。
いつもは静かなこの公園も、学校の宿題だろうか、紙や筆記具を持って大人と歩いてる子どもをよく見る。

光る何かに近づいてきた。ペンのキャップだろうか、それくらいの大きさだ。何だろう。まだ分からない。
たどり着いた。何だろう、顔を近づける。オモチャの虫?

拾いあげてみる。手のひらにのせ、じっくり見る。おいおい、本物の虫じゃん。
動く?もう動かない。生きてない。
それにしても綺麗だ。電球付いてんだろってくらいピカピカに発光してるよ。こんな光るって、そんなのことある?見たことあるような、ないような。

写真だ、写真撮ろう。と、バシバシ撮った。あまりに綺麗で「虫?気持ち悪い」とか全く頭をよぎらなかったな。

さんざん撮った。さてどうしよう。
少し考える。
学校の宿題なのか、子ども達が公園に来てる。きっと子ども達が見つけるだろう。こんなに光ってるもん。そうだよ、私が拾うよりその方がいいだろ。
私が見つけた時と同じように、元の場所へ戻した。

奥へ歩こう。そろそろ栗が落ちてるんじゃない?

気になる。どんどん気になってくる。歩けば歩くほど、気になってきた。

バッカじゃね?おまえ。
子どもが拾ったほうがいい、とかさ。くそダセーだろ。そーゆーのが1番ダサいんだよ。
頭の中に声が響く。

あぁぁ、しぼんでく。
なんかよく分からん虫に会ってうれしかったのに、小さくなってく。

正直じゃなかった、ごめんなさい。
早足になる。戻ろう。さっきの場所に戻ろう。戻って、残っていたら拾って帰ろう。まだあってくれ。

落ち着かない。早くたどり着け。


あの辺。見えてきた。

どうなのか?
あるのか?ないのか?
何も光ってない?
そうなのか?

来たときには、遠くからでも光って見えた。今は見当たらない。何も光らない。
場所が少しずれてたのか?ウロウロする。
しゃがみ込んで探す。もう見つからないのか。
この辺のはず。誰か持っていったのか。
見つからない。

見つからない。

もう一度、見つけた時と同じように、来た方角から眺めてみよう。
光った!光ってるよ!
あった!あった!

手のひらに乗せる。
光ってる。ピカピカの虫。
落ちている葉っぱに乗せ、そっと包む。

帰ろう。


無事、家に着いた。


この虫なんだ?と、図書館の図鑑で調べようとしたけど、さっぱり分からん。
図鑑って難しいですね。知識が無さすぎて、どの辺を調べたらいいのか、さっぱり見当つかない。
ネットで調べるか、と何気なく光る虫の写真を検索にかける。

早い。すぐ結果が出る。

タマムシ?
ヤマトタマムシ?
ん?何それ。
は?場所によっては絶滅危惧種なの?まじかよ。
えーそうなの?全然想像してたのと違う。どこにでもいるんじゃないのかよ。

ヤマトタマムシ?
へぇーそうなんだ。
この子をどうしようかと眺める。
手のひらの上の虫をじっと観察する。
ため息が出る。きれいだ。

ヤマトタマムシ、だと思う。

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