透明な言葉と不安定な物語『九月と七月の姉妹』デイジー・ジョンソン
もう物語の中にいる。
世界が創られた。
この冒頭部。それだけで、涙が薄っすら溜まる。
久しぶりに感じた、物語に溶け込む。
本を手に取った時から、やばい感じがした。
この本は、一人きりで時間のある時に読もう。
そう思って、取っておいた。
外で雷が鳴ってる。雨も降りはじめた。
よし、読もう。そう思い、本を開く。
私は雨の音が好きだ。
雨の音を聞きながら本を読むのが好きだ。
端的な言葉が続く。
詩を連想させる文章。
詩のことは、あまり分からない。
透明でみずみずしい言葉と
歪んだ不安定な物語。
調和している。
手に取って欲しい本。
この本の、どんな推薦文も感想文もいらない。
何も考えず、本を開いて欲しい。
その後は、心配ない。
九月と七月の姉妹
著者 デイジー・ジョンソン
訳者 市田泉