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キミに会いたかったんだよ

親戚のにいちゃんに貰ったデカいスイカをむしゃむしゃ食べた。スイカのにおいから、樹液のにおいを思い、昆虫のことを思い出した。

樹液のにおい!昆虫探しに行こう。

いつもの公園、いつもの神社、いつもの森。
樹液を巡る。

何年か前にも樹液巡りをした。
その木へ向かう暗い一本道。道の入り口で、もう子どもではない若者、男の人に会った。

「いっぱいいますよ。スズメバチもいっぱいいます。」

手ぶらだった。笑顔で私に話しかけた。
首にタオル、短い髪、顔いっぱいに流れる汗。


あぁ、同志がいたんだ。


安心した。他にもいたんだ。
私と同じ人が他にもいたんだ。道を進む。

濃い樹液のにおいが私を誘う。酸っぱいはちみつ。



キミに会いたかったんだよ。

あのころ会ったキミたち。
あの時のキミの子どもたち。キミたちに会いたかった。
今年もここにいてくれたんだ。会えてうれしいよ。

うれしい。うれしい。


少し足りない。

子どもの声は聞こえない。
虫取り網を持った子どもと、すれ違わなかった。
もうみんなにとって、コイツらはスターじゃないのか?
もちろん乱獲はして欲しくないよ。木を傷つけるなんて、絶対ダメだ。
文句なしにカッコいいだろ?頭にハサミとかついてんだ。こいつをガシガシ動かして戦うんだ。

それでもやっぱり、会えてうれしいよ。

暑い暑いと思っていたのに、ツクツクホウシが鳴いてる。

キミたちに会えてうれしいよ。また来年会おう。


noteを見返すのが楽しみになった。

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