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下手でもいい。

あぁもうなんだか、くっそつまんねぇ大人になっちゃったな、って思うことがある。いろんなことを練習して経験して上手くなっていく過程で何かを失っていく。

書きたいから書いて、言いたいから言って、歌いたいから歌って、踊りたいから踊って、描きたいから描いて、泣きたいから泣いて。そんな風に純粋に何かができたのはいつが最後だったかな。

人の心を動かすために、誰かが価値を感じてくれそうなものを書くことも、相手の機嫌を損ねずにうまくまとめることも、自分が傷つきすぎないように感情と向き合うことも、大人になるにつれてそこそこ上手くなった。

でも、純粋な気持ちで生み出されたものには勝てないって思うことがたくさんある。何よりも、確実に今より下手だったいつか、本当に心の底から浮かんできたエネルギーをそのまま外に表現したようなあの瞬間の方が、今よりずっと心地よかったってことを、自分自身が覚えてる。

あの頃は、もっとうまくなりたくて、もっと自分を表現したくて、もっと自分を見てもらうために他の人の価値にもなるものを創りたいって熱望したけれど、そのスキルが身についていくにつれて、表現したかった何かはどこかへ消えてしまった。

うまくできなかったからこそ、すんなり表現できなかったからこそ、エネルギーが凝縮されていたのかもしれない。表現しやすくなって、詰まることなく流れるようになったから、爆発しそうになるまで圧迫されることもなくなったのかもしれない。

やっぱり人間は、変わらないことはできないんだな。あんなに、変わりたいと思ったのに。


いつでも生み出すものは、そのときにしか生み出せないもの。下手でも、粗削りでも、上手くても、何かがあっても、なくても。だからこそ、生み出したものにはどんなものであれ、価値がある。ゴミに思えるものでも、「今を表現している」という価値がある。存在が「ない」のと「ある」にはとんでもない差がある。だから、言いたいことは言っていいし、やりたいことはやっていい。ダメな理由なんかない。やめる理由なんかない。

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