私の乳がん記⑤ 心の声をメモで漏らします
乳管に癌細胞ありと告知を受けてから、術後の病理検査結果を聞くまで、
ジェットコースターのような時間を過ごす中、自分の気持ちが置いてけぼりにならないように、心の声をメモしていた。
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6/9 AM9時台
これから詳しい検査結果を聞きにGPへ行く、今バスの中。
不安は拭えない。胃が気持ち悪い。
緊張もしてるけど、なんだかフワフワした感覚。
現実逃避なのか。
どこかで受け止めなきゃいけない。
覚悟をしたり不安になったりを行ったりきたり。
昨日、ハナちゃん(友だち)に話ができてよかった。
貰った言葉、LINEのテキスト。
お守りだ。
晴れているのに小雨。
ふと振り返ると虹が見える!
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6/10 23時台
こんなスピードで進むことに溺れそうだが、
考える暇を与えないほうがいいのかもしれない。
この流れに身を任せるしか他ない。
先の不安はやはり拭えないけれど、いずれ分かることとなる。お母さんが言うように、ミサちゃん(友だち)が言ってくれたように「乗り越えられない試練は人には与えられない」
私はきっと大丈夫だ。このまま突き進もう!
大ちゃん(夫)に迷惑をかけてしまうこと、息子に寂しい思いをさせてしまうことが1番辛い。
本当にごめんなさい。
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6/13 AM8時台
私の身体に起こっていることは事実だが、手術をしなければ浸潤してるか転移しているかの症状が分からない不安を抱えてる。
どんな結果であろうとも、それは嘘偽りない真実。
受け止め、受け入れ、step by stepで進むしかない。
そして、先生や医療関係者にお願いするしかない。
私には強力なサポートメンバーがいる。
身を任せ、向き合おう。
逃げなくていい、辛かったら留まろう。
身を任せよう。心が辛い時はしっかり吐き出そう。
落ちれるところまで落ちたら、上がるしかないから。
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6/15 AM10時台
今日はMRI。
手術が近づくにつれて、緊張感が増してきた。
手術が全摘になるか部分切除になるかの結果は翌日にわかるとはいえ、すんなり受け止められるかどうかはわからない。
不安でお腹が気持ち悪い。
お天気は、オーストラリアらしい晴れて青空が広がっている。
すっごい気持ちいい。
検査前にはハナちゃんが教えてくれたように、メディテーションしてみよう。呼吸に集中しよう。
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6/18 15時台
いよいよ明日、手術。
全摘することは覚悟しているけど、怖いのは手術そのものと、細胞検査の結果。その予後。
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6/18 22時台
いよいよ明日が手術。
生きるための手術。
もう、先生に委ねるほか何もできない。
自分の気持ちと向き合うだけ。
頑張れ、私。追いつけ自分。
大ちゃん(夫)とこれからもいっぱい笑っていっぱい時間を過ごすんだ。
息子の成長を見守り、彼の未来のパートナーとの結婚式に参加してスピーチするのが私の夢。
これを叶えるために、生きるのだ。
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6/20 AM3時台
無事に手術終了。
手術直前は、怖くて涙。麻酔から覚めて、意識モウロウとする中、状況を把握し、生きていることを実感して涙。
ありがとう。みんな。
ありがとう。私。
バイバイ、右の胸。
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7/1 19時台
昨日、先生のアシスタントに電話して術中の病理検査の結果を知りたいと連絡した。正直、木曜まで待ちたい気持ちがあった。(木曜は診察)
聞く覚悟ができてなかったから。
大ちゃん(夫)に即されるままに電話したけど、とても嫌だった。不安だった。お折り返し電話はその日のうちに無かったけど、心が落ち着かなかった。不安を悟られないようにしてたけど、彼は気づいていたと思う。
今朝、先生が折返し電話をくれた時も、なんだかフワフワして、よくわからなかった。でも携帯のスピーカーから聞こえる先生のちから強くも優しい声からは、”問題無かったよ、キモもレディオセラピーもしなくていいんだよ。” を聞き取れた時は、もう感情が爆発してた。
ほんとよかった。ほんとにほんとによかった。
まだ正直、信じられない。
私の右胸は皮膚だけ残して無くなってしまったけれど、耐えて頑張ってくれていた。
本当にありがとう。私のおっぱい。
42年間、本当にありがとう。
あなたが私のおっぱいでいてくれてよかった。
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私は幸運な癌サバイバーではあるが、心をかき乱される中、自分の命をなんとか落とすまいと必死な時間を過ごした。
「生き続けたい」とこんなにも願った時間もなかった。
私の心は、少しだけ強くなった。
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