京都に来たら訪れてほしい個性派鉱物カフェと、2027年に見れなくなる自然のこと
ずっと行ってみたかった「ウサギノネドコ」に行ってきました。ウサギノネドコは、京都にあるカフェ兼ショップ兼お宿。植物や鉱物などを使ったプロダクトや、それらをイメージしたカフェメニューを提供しています。長屋を改装した素敵なお店でした。
まずはカフェに。定番メニュー「隕石カレー」も食べました。まっくろ!本物の隕石も一緒に持ってきてくれました。
アメジストをイメージしたムースも。白いムースの上に透明のゼリーとぶどう色のゼリーが乗っかってました。美味しい。こちらもやっぱり本物のアメジストと一緒に持ってきてくれます。隕石や鉱物をまじまじと見てさわる機会ってあんまりないものです。すさまじく綺麗。オーナーの吉村さんの「自然から生まれた造形物」へのリスペクトを感じるカフェのデザインでした。
次はショップに行きました。カフェの隣はショップになっています。ウサギノネドコのメイン商品である「手のひらの宇宙」sola cube(ソラキューブ)に視線が釘付けでした…!ソラキューブは4cm角のアクリルキューブで、まんなかに乾燥植物をいれたものです。インテリアに使ったり、ライトと一緒に照らしたりすると綺麗です。
(タンポポの綿毛がこんなにフワッフワなのがすごい…!!)
今日、こんな本を読んだのですが、
『拡張の世紀』ブレット・キング
この本の中に、2027年の東京の渋谷を生きる女性「ハンナ」が出てきます。AI「アルバート」に声をかけてシャワーの温度の上げ下げをお願いしたり、アポ先の日程調整やリスケをお願いするハンナ。スマートセーターを着て、バーチャルショップを運営して、ニューヨークにいる母にVRチャットを送ります
そんな彼女が明治神宮外苑を歩くと桜の木が見えます。でも、桜の木はふつうに生えてはおらず、特殊アトリウムのなかにあります。なぜなら、「気圧配置の不安定さが増大して平均気温が上昇したことで、桜の花に必要なデリケートな環境は破壊的な影響を受けた。熱波の早期襲来のために東京の桜の季節が2年続けて短くなったことを受けて、都は環境保存プロジェクトに乗り出したのだ。」とあります。
これは著者のブレット・キングが予測する近未来であり、ハンナはそのなかの登場人物です。だからSF小説に近いし、本当に起こるかどうかは著者にも誰にもわかりません。だけど今年の異常気象を体験して、わたしはなんだかアトリウムに閉じ込められ歴史的遺物として保存される桜の木が、ありありとイメージできました。
そして目の前にある隕石や、アメジストや、Sola cubeに閉じ込められた植物を見て、「あ、わたしがいま間近に見ることができている自然は、こうしてアクリルを介してでしか眺めることができなくなるのかもしれないな」とふと思いました。
36億年かかって生み出されたその植物の美しい形を見つめながら、10年後の未来を思い描き、なんとも言えないせつない気持ちになりました。わたしは「今」と「近い未来」ばっかり見つめてきたけど、手から取りこぼしてきたものがあるんじゃないかな。
自然の造形物へのリスペクトに溢れたショップ「ウサギノネドコ」。とても素敵なお店なので、京都に訪れた際はぜひ足を運んでみてくださいね。