非営利組織の雇用、最近のニュースと考えていること
今日のちょっと気になった記事と考えたこと。
Nonprofits See Strong Hiring in October
https://www.philanthropy.com/article/nonprofits-see-strong-hiring-in-october
非営利団体、10月の雇用は好調
ジョンズ・ホプキンス大学の推計によると、10月の非営利団体の雇用は大幅に増加し、44,576件の雇用が拡大しました。これは非営利団体にとってパンデミック後の最高値を示すもので、2020年にCovid-19が全米を席巻した際に最初に失われた米国の160万の非営利団体の雇用の70%を慈善団体が回復したと推定されています。報告書では、非営利団体の雇用がパンデミック前の水準を上回るのは、少なくとも2022年8月か9月になると予測しています。同大学の市民社会研究センターの報告書によると、「このマイルストーンに到達するまでに17カ月を要したが、冬の間にパンデミックが大きく再燃しない限り、このセクターは年内に完全な雇用に戻る見込みであるという希望的な兆候である」としています。
10月の非営利団体の雇用増加は、ヘルスケア団体と教育団体での大きな雇用数に牽引されました。医療関連の非営利団体では16,159件の新規雇用があり、教育関連では12,060件の雇用がありました。また、芸術・娯楽団体では3,243件、社会支援団体では3,987件の雇用増加が見られました。すべての分野で雇用が増加したわけではありません。宗教団体、助成団体、市民団体は、10月に1,793人の減少となりました。
非営利の芸術団体は、パンデミックによる雇用削減の影響を最も受けており、2020年2月と比較して47,617人(13.4%)減少しました。教育系非営利団体の雇用は、パンデミック前の200万人強の水準から6.1%減少しています。宗教・助成金・市民的非営利団体(教会、財団、政治的提言団体などを含む幅広いカテゴリー)は、2020年2月の水準に比べて5.1%減の81万8562人を雇用しています。社会支援系の非営利団体は、2020年2月に150万人の従業員を雇用していたと推定されますが、3.7%減少しました。医療関連の非営利団体は、パンデミック前の最高雇用数である670万人から3%減少しています。
最初は景気のいいニュースなのかなと思って見出しを見ていったのですが、読み進めるうちに2020年のパンデミックをきっかけとした非営利セクターでの雇用減少そのものがすさまじすぎてびっくりした。ついに回復の兆しが見られたということでいいニュースには違いないのだけど、驚きのほうが大きく感じた。
パンデミックという危機的事態にこそ手厚くなるべきの非営利セクターでの雇用で、雇用が失われてしまったというのは、いち寄付者として課題を感じます。人手がいなくなるというのは、そのぶんだけパワーがなくなる。そのひずみを一番受け取るのは受益者本人になる。
非正規雇用のほうが多いのはなぜでしょうか
このニュースの調査対象となっているアメリカでは、古いデータだが三菱UFJリサーチ&コンサルティングの厚生労働省受託の2003年の調査によると、労働力人口に占める非営利セクター従事者数が9.8%とされている。約1割を占める業界だから、ジョンズ・ホプキンス大学でこんな調査が行われてニュースになるのもよくわかる。
日本では労働力人口に占める非営利セクター従事者数が4.2%で、有給雇用者にかぎると3.2%になる。また、日本では1団体あたりの有給の正職員数が1.4人で、有給の非正規職員数が2.95人になっている。
これはどちらも古いデータなので、現在は日本の有給の正職員数もある程度は伸びているはずだと思うのだけど、さまざまな非営利組織の求人を見渡す限り非正規職員(契約社員、アルバイト等)が多いと感じることは今でも多い。
以前なにかのご取材を公的機関の方からいただいたときに「なぜNPOでは契約職員など非正規の雇用枠のほうが多いのでしょうか?正職員で募集すればひとが集まるのでは?やはり資金不足が要因でしょうか」とおたずねいただいたことがある。(ご本人許可済エピソードです)
サポートも嬉しいのですが、孤立しやすい若者(13-25歳)にむけて、セーフティネットと機会を届けている認定NPO法人D×P(ディーピー)に寄付していただけたら嬉しいです!寄付はこちらから↓ https://www.dreampossibility.com/supporter/