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彼女はいつでも明るい。
その明るさと素直さに私は話して15分ほどで彼女の存在に惹かれた。普段心を開く事に時間を要する私の心をもすぐ打ち解ける程だった。同級生に初対面で初めて"あんた"って呼ばれた。嬉しかった。そのたった一言で私自身が認められてる気がしたからだと思う。
そんな彼女はとにかく弱みを見せるのが上手で、1人でいる子を見つけるのが得意で、他人を優先できるような子。
いつも銀行口座には大体何百円しか入ってない。物を知らなすぎてよく馬鹿にされている。
この前なんて富士山はずっと京都にあると思っていたらしい。一緒に名古屋旅行に行った時なんか、"行き先調べたら愛知県ばっかでてくんねんけど、どゆこと?携帯バグってんかなー"
とかふざけた事をマジな顔で言ってた。
嘘みたいな本当の話。
そんな彼女だからよく悩みが無さそうだねとかなんも考えて無さそうだねとか言われがち。私もそこらの人間と同じように最初はそんな風に思っていた。
でもある時、彼女には大きな闇があること、ずっと抱えている悩みがある事を打ち明けてくれた日があった。
私は泣いてしまった。
彼女は私が思っている何百倍も強い人間だった。私だったら耐えきれないような、逃げ出してしまうような拷問を今までひとりで耐え抜いてきた人間だった。
あの真昼の太陽みたいな明るさは、困難と苦労と痛みを誰よりも知っている上で成り立っているものだったと確信した。
その闇をひとつも見せない強さと凛々しさ。
私が居場所を無くした気持ちでただひたすら彷徨っている時
彼女は私がいる場所まで駆けつけてくれる。
何がなんでも。
どんなに暗くて深く険しい所でも。
そして
"一緒に行こう"
"あんたはこっち来たらええねん"
って私の弱々しい冷え切った手を引いてくれる。
私は彼女みたいに手を引いてあげられないかもしれないし、彼女みたいな芯の通った強さはまだ備わっていないかもしれないけれど、
彼女と一緒ならどこでも彷徨えるし
どこへでも行ける気がする。
私と一緒なら
あんたが大好きな煮込みハンバーグ
いつでも振る舞ってあげれるからね
面と向かって褒められるのが苦手なの知ってるから、知らないところで愛を語ることにした。
いつ気づくんやろ。
気づかれなくてもいっか。
今もしこの文章読んでるとしたらきっと隣にいる私は酒に酔い潰れているだろうね。
出会ってくれてありがとう。
p.s アルハラだけは本当にやめてください。