見出し画像

国会図書館に自主制作本を納本してきました(「WE MUST GO ON」企画日誌21 & 「WE MUST GO ON2」企画日誌5)

先日、
『WE MUST GO ON ―2020年春、ミュージカル界のトップランナーが思うこと―』並びに、
『WE MUST GO ON2 ─演劇人たちの2020年─』
を、国会図書館に「納本」してきました。

「納本制度」、ご存じの方も多いと思いますが、日本国内で発行された出版物は、原則として国立国会図書館に納入することが義務付けられています。

日本国内で頒布を目的として発行された出版物は、原則として、すべて納本の対象となります。(「納本制度の概要」参照)
国立国会図書館に納本いただくと、その書誌データが「全国書誌」として国立国会図書館オンライン等で検索できるようになります。また、図書館資料として広く利用されるとともに、国民共有の文化的資産として永く保存され、日本国民の知的活動の記録として後世に継承されます。

https://www.ndl.go.jp/jp/collect/deposit/request.html


義務と言っても罰則はないですし、同人誌作って国会図書館に納本する人、そんなにいないんじゃないかなーと思うのですが(体感として。いやわかりませんけど)。
ちゃんとした出版社(企業)で発行される本は取次を通して自動的に納入されるシステムだと思うので、自分で納本する機会なんてめったにないので、「これも記念に」と行ってきました(笑)。

※訂正。罰則ありました。「発行者が正当な理由なく納入しなかったときは、その出版物の小売価格の5倍に相当する金額以下の過料に処せられることと定められています。」とのこと。ただしこれまでに罰則が科せられた例はない、みたいな記事もありました。



事前準備


●行く前に念のため問い合わせを。


①事前に予約などは必要あるか
→必要ありません。直接来てください

②(コロナ禍のため)来館制限などはされていないか
→納本は大丈夫です
…これは、実はやろうと思い立ったのはちょうど1年前、まだ閲覧の方は入館制限をしていた時期だったため質問した次第。大丈夫でした。

③納本の概要に「発行の日から30日以内」とあります。
30日以上とっくにたっているのですが……。
→目安ですので、問題ありません
…問題ないんかーい(心の声)。
ほかにも「納本は通用口から入ってくださいね~」など丁寧に教えてくださいました!

●あと、納本しようと思ったら実はすでに誰かが納本してた!ということもあるかもしれないので「国立国会図書館サーチ」で検索をしてみます。

まだ登録されてはいないようです。
https://iss.ndl.go.jp/

……国立国会図書館の資料収集、発行者からの納本のほか、本人以外の人からの「寄贈」などのルートもあります。
もしかしたら『WE MUST GO ON』もう読み終わったから国会図書館に寄贈するか~、というキトクな方がいた可能性もなきにしもあらずなので検索してから行きました。そんな人はいませんでしたが。

余談ですがその寄贈に端を発するトラブル、こちらが非常に面白かったです。
(これは作者先生の方が無理を言ってると私は思います)
国会図書館に同人誌を寄贈したら著者に訴えると言われた話


実際に行ってきましたよ!


国会図書館は地下鉄永田町駅2番出口から、徒歩約5分のところにあります。

永田町駅です。こちらの出口から出ます
来たぞ、国立国会図書館


納本は利用者入り口ではなく、通用口(西口)から入ります。

案内図
通用口(西口)から!利用者入り口ではありません。

入ると左手に受付があるので、警備員さんに納本である旨を伝え、入館バッチをもらい、中へ入ります。

わかりやすい!

本当に図書館のカウンターか、役所の受付かってかんじ。
近くに職員さんもいなかったのでベルで呼びました。

発行者本人の場合、無償の「寄贈」(正確には本人の場合は寄贈と呼ぶわけじゃないみたいですけど。職員の方も「寄贈でいいですか」と言ってたので)と、「納入出版物代償金」をもらっての納本の2パターンあります。

「納入出版物代償金」というのは、小売価格の5割の価格が支払われるもの。簡単に言うと「半額で国に売る」形ですね。
別に国相手に商売しようと思って納本しに行ったのではないので素直に寄贈にしました。
というかそのつもりでしたが、手続き時にどちらか選ぶようなターンはなく、さらりと「寄贈でよろしいですね」と言われただけでしたが(笑)。

なお、「納入出版物代償金」に関しては、このシステムを悪用した『亞書』事件なんてのも最近(といっても6年前)あったので、記憶されている方も多いのでは。

ちなみに調べると「納入出版物代償金支払いの対象となる出版物の基準は、(略)100部刊行されていることを基準とします」という記述があるので、もしかしたらこのあたり『亞書』事件以降にルール整備されたのかも?と思ったりも……。


手続きは2分程度で、拍子抜けするほどあっさり終了。
発行者(私)の住所と名前、書籍のタイトル名を記入しただけです。
発行部数とか聞かれるかと思って事前に確認していったのに……。何も聞かれんかった……。

納本受付カウンター。ちゃんと撮影許可とりましたよー

『WE MUST GO ON 』、『WE MUST GO ON2』とも2部ずつ納入してきました。
納本義務は1部ですが、2部寄贈すると、原則として、1部目を東京本館で、2部目を関西館で所蔵してもらえます。
2部ずつ納本してきましたので、関西館でも閲覧できるようになるはず!

後日


後日、郵送にて「受領書」が届きました。
これは希望者のみだそうです。記念にもちろん希望した。

国会図書館に納本した証!

ということで無事「納本」されたので、『WE MUST GO ON 』、『WE MUST GO ON2』とも、最高の環境で、半永久的に国が保存してくれます!

納本された出版物はいつまで保存されるのですか?
A10:期限はありません。保管に適した環境の書庫で、可能な限り永く保存し、利用に供します。

https://www.ndl.go.jp/jp/collect/deposit/qa05.html


最後に、納本制度について思うこと


納本制度、「義務」があるとはいえ、同人誌なんぞを国会図書館なんて立派なところに入れていいのか。
この本を保管・保存するのに税金が使われるのはもったいなくなくないのか。
自分が作った本が、国会図書館に入れる価値があると思ってるなんて図々しくない?

……もしかしたらそう思われる向きもあるかもしれません。

ちょっと個人的な話ですが、私は史学科出身で、専攻は日本中世史、ゼミではある貴族の日記をひたすら読み解いていました。
その貴族は別に歴史的に有名な人物ではなく、自分の家臣に借金をし、返済ができなくなってその家臣を殺害したことで流刑・蟄居を命じられたというクソみたいな人だったのですが、その日記が、当時の都ではない地方のことを知るのに今の私たちにとってはとても貴重な資料なんです。庶民の生活はもちろん、都で起きた大事件が、その地方に情報として伝わるのにどれくらいのタイムラグがあったか……とか、様々な情報を読み解くことができる。
それはもちろんその貴族はそんな価値があると思って日記を記していたわけではなく、後の世に生きる私たちが勝手私たちの目線で価値を見つけている。

同じことだと思っています。
国会図書館は「収集すること」が目的。その書籍に価値があるかは(ひとまずは)関係ない。
今の人たちは価値がないと思っていても、もしかしたら、その本のテーマではない意外な角度から、後の世の人が価値を見出すかもしれない。そのための収集。
……と、私は理解しています。

ということで堂々と納本してきました。
納本制度、素晴らしい制度だと思うので皆さんも同人誌作った時はぜひ納本してください!

もし『WE MUST GO ON 』シリーズ、ご興味ありましたら国会図書館で閲覧してみてください!!


『WE MUST GO ON』シリーズ販売サイトはこちら。『~2』の方はまだ販売中です!


いいなと思ったら応援しよう!