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鬼滅の刃 外国語版との比較が楽しい件

英語吹替版アニメ:不便な部分はあっても魅力的な教材

ちょっと前に「日本アニメ逆輸入盤が英語の学習に使えない問題」という記事を書きました。あれから数か月、クローズドキャプション(CC)ではない、英語の吹き替え音声と一致しない英語字幕でもないよりははるかにマシなので、参考にしながら自分の耳で文字起こしをしたりしていました。
答え合わせができないので不完全燃焼気味ですが、自主的ディクテーションがものすごく音の聞き取りに役立っている気がします。10年ぶりに受けるつもりだったTOEICを受け損ねているので(4月に予約していたけどコロナ禍で中止になり、その後まだ受けられていない)実際のところはわかりませんが。

結構意地になって何度も聞き取りをしていくので、結果的に聞き流すよりもはるかに身になっています。
ただし私のADHD脳だと過集中になりやすく、他にすべきことがおろそかになる傾向が強いため、この点は改善を要するところです。

鬼滅の刃の英語吹替が見てみたい!

鋼の錬金術師の英語もそこまで「ちがうやん!」という違和感はなく、すごく練られた英訳だなあと思っていたら、もうたまらなく鬼滅の刃のアニメを英語吹替で聞いてみたくなりまして。いろいろ模索しておりました。

一番参考になったのがまっくんさんという方のブログの「英語CC字幕付き英語吹替え版日本アニメの大量入手方法」という記事です。

もともと4月の自粛中に「鋼の錬金術師」の英語版が何とか見られないかと模索していて見つけたのですが、その後VPN接続をあーだこーだしてようやく英語版を見ることができました。詳しくはまっくんさんのブログをご参照ください。このブログのおかげで私と夫の英語学習がかなり捗っているのですが、アメブロ登録者でないとメッセージが送れないようなのでここでお礼を言わせていただきます。ありがとうございます!

VPN接続は金銭的(毎月1500円弱かかる)と精神的(なんかやましいことしてる気がする)なハードルが高かったのですが、そこがクリアできると広がるめくるめく日本アニメ吹替版の宝庫…!すっごい楽しい!

NetflixはVPN接続できれば世界中のNetflixコンテンツが楽しめます。Netflixがありがたいのが、最近VPN接続でいろんな国のNetflixにつなげていたら、見てみたかった「ハウルの動く城」のフランス語版とか、「天空の城ラピュタ」や「風の谷のナウシカ」の英語版とかが見られるんです。
もう幸せすぎて鼻血が出そうでした(ため息)。
それだけでもNetflixはいいんですが、なぜか鬼滅の刃が見られるのは日本のNetflixだけ。海外では英語版はもちろん、日本語でも見られません。
これは残念ながら鬼滅の刃を制作したANIPLEXさんはソニー系列の会社で、利害関係からHuluと競合するNetflixには配信を許していないのだと思われます。大人の事情なので仕方ないのかもしれないですが、残念。

他にもいろいろ探してみました。上記のまっくんさんのブログで一番アニメ作品が充実しているというFUNIMATIONは、アカウント(有料)を作らないといけないけど英語吹替があります。でも残念ながら2020年12月の現時点で字幕はCCではなく、吹替音声と一致しない英語字幕のみ。

Huluだと各国のHuluアカウントが独立しているので都度お金がかかりますし、さらにいろいろハードルが高いのであまり費用対効果は高くないかなと思うのですが、最近また鬼滅の刃の英語吹替版とクローズドキャプション(以下CC)が付くようになり(一時期日本語音声に英語字幕のみでしたが)、現時点で鬼滅の刃を教材に英語吹替&英語CCで学習したい人にはもう米国版Huluしか選択肢がない状態になってます。
私はどうしても答え合わせがしたいので英語音声と一致したCCが見たくて結局米国版Huluを半年間だけのつもりでアカウントを作りました。半年の間に26話自分で文字起こしをやってみようと思います。できるかどうかはわかりませんが。でも著作権とか侵害するつもりはないので文字起こしした字幕は夫と一緒に勉強するだけにしておきます。

コミック・日本語音声英語字幕・英語音声の英語字幕比較

さて、鬼滅の刃に興味を持ち、アニメを見たら気になるのが、

「あのセリフは日本語だとこうだけど、英語だと一体どうなっているのだろう?」という疑問です。

これが、面白い!
吾峠呼世晴先生の言葉選びの雰囲気を壊さないように英訳するには、英語がネイティブで語彙も幅広く、かつこの日本語の作品を人一倍理解していないと無理なのだろうというのはわかる。私は英語の語彙も含みも知識が浅すぎて想像もつかないけど、と思いながら、コミック・日本語アニメの英語字幕・英語版CCを比較してみます。

「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」

1巻の冨岡義勇のセリフです。
日本語ってほんと素晴らしいと思うのですが、漢字が使えること。そして訓読みだと大体どんな漢字が宛てられるのか予想できること。聞いたことない、目にしたことが無かったこの「生殺与奪の権」という言葉ですが、漢字を見れば意味が分かる。この簡潔なセリフを英語だとどういっているのでしょうか。

コミック版:
Never leave yourself so DEFENSELESS in front of an enemy!
(敵の前で無防備になるな!)
日本語音声の英語字幕
Don't ever give others a chance to murder you!
(他人にお前を殺すチャンスを与えるな!)
英語音声のCC:
Don't grovel like that! and give your enemy the chance to kill you!
(そんな風に這いつくばるな!お前を殺すチャンスを与えるんだぞ!)

「え~なんか意味が違う!」と思う方も多いかもしれないけど、英訳した人は苦労したと思います。独特の語感は伝えられそうにないけど、意味は通さないといけない。
日本語音声英語字幕の場合は文字数が多いと読み切れないので、文字数を抑えないといけない。
吹替の場合は最近のアニメ吹替はセリフのタイミングも極力合わせている気がします(「ルパン三世カリオストロの城」は笑えるくらい勝手にやりたい放題)。なのでその尺も考えてのこの言葉選び。

そしてこの3つを比較できる環境で私はそれぞれの言葉の語感やら意味を考えることができる。素晴らしい教材です。

他にも冨岡さんのセリフ

オリジナル:お前ごと妹を串刺しにしてもよかったんだぞ!
コミック英語版:I should have skewered you both!
英語字幕:I could've skewered her along with you!
英語CC:I could've easily just skewered both of you and be done with it!

音読してみてください。声に出して読むと英語版CCの尺(セリフの初めから終わりまでのタイミング)とオリジナルの尺が一番近いのがわかりますでしょうか?

あと、鬼滅の刃のおかげで新たに獲得した語彙があります。
Hatchet(斧)
Skewered (串刺し)

今まで「えーっと、あれなんだっけ?出てこないから辞書で…あ、そうそうこれこれ」という感じで調べて思い出す、という程度には知っていたけど、普通に会話で使うときにパッと出てくるくらい自分のものになりました。

HatchetとかSkewerとか、普段あんまり使わない言葉ではあるんですが、それでも語彙の引き出しは多ければ多いほど表現が豊かになる(はず)ので、これからも楽しく語彙を獲得していきたい!と、わくわくしている今日この頃でした。


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Sachi
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