軽妙な逸脱|『LETO』(キリル・セレブレンニコフ,2018)
ヴィクトル・ツォイを初めて目にしたのは、映画『ASSA』(セルゲイ・ソロヴィヨフ,1987)だった。エンディングで「変革を待っている(Мы ждем перемен.)」とマイクを握る姿が文化的革命の寵児そのものに見えて、大学二年生のウブな私はころりと惚れてしまった。
『ASSA』に感化されていた私は、もちろん熱を帯びた眼差しで『LETO』を見たのだが、良い意味で腰が抜けた。ツォイ含めるロッカーたちが、肩肘張らずに軽妙に演じられる。80年代後半のモスクワでロシアン・ロックが