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幸と名付けられた子⑧いつしか思い出が透明になる前に


生きて、幸せになろうと
願いを込めて幸と名付けられた、
優しい柴犬の女の子。


2022年。
私と暮らす3年め。
安定した、まったりペース、
幸ファーストで毎日が過ぎる。

幸の、
わたし、何もしないのよ、
宣言から

食べて、寝て、のんびりと
安心な毎日。
1年に3回くらいしか吠えない幸、
公園で出会う、カッコいい
シベリアンハスキーの男子に
ちょっと恋心を。

ワン!と
彼を呼ぶ幸の、目がキラキラ✨



それでいいよね。
好きな子は好き、
厳しく接してきたり
匂いばかり嗅いできて、自分の
匂いは嗅がさせない子や
気分でガウってくる子とは
距離を置けばいいよ。
幸は主張しなくて優しい、というか
萎縮して気弱。
おかあさんにも怒らないし、
静かにわがままをするくらいだし😂

安心なお部屋で
幸のまったりな長期プログラム。

厳しい環境から離れたから
もう、そこには戻らない。
心も、体も、まったり。



今にして思えば、人にも言えること
なのだろうと思う。
個性を大事にする、
自分を大事にする、
どうしてこれが、出来なかったのかな。

そして翌、2023年、
私は体調不良により休職した。
歩みを止めたら、未来が見えなくなる、
という、奇妙な恐怖心。
止まらない列車のように走り続けても
動いているだけで、未来は見えていなかった。
今さえも見えていなかったのだ。

幸の、末期癌による余命宣告から
看取るまではこちらに。
↓↓↓



本能。

最後の10日間は
笑って、食べて、のんびり過ごしていた。
腹水が溜まる間隔が短くなり、
いよいよ食べられなくなり、最期を
迎える4日くらい前の朝の散歩、
幸はよく歩いた。
そしてまだ、誰もいない公園を走り、
ひとつ先の公園まで走った。
私を引いて。
いつもの公園から出ることができなくて
ひとつ先の、近くの小さな公園に行くのも
怖がっていた幸が、走って、たくさん
匂いを嗅いだ。
食べているのも、本能からで。
散歩で走っているのも、本能からで。

繁殖場で
閉じ込められて育ち、
喜びを知らない。
人に傷つけられ、心にトラウマが残り、
幸せという感情を忘れてしまった。
少しずつ、回復して、
おかあさんの安心感、
食べる喜び、穏やかな毎日。
自分らしく、ありのままで愛されること。

幸は思い出していたのだろう。

そして、
最期を目前に
犬としての本能を取り戻した。

走った。マーキングをした。

それは
お友達の匂い、自分が生きた日々を
焼き付けていたのかもしれない。

わたしが、生きていたのよ!
わたしの場所があったのよ!

薄幸な
かわいい顔と優しい性格の
女の子。
この時代に咲き続けるのは
あまりにも純粋過ぎたのかも
しれない。


2日前、私は誕生日だった。
幸は昨年、私の誕生月に召された。

無償でお花を提供してくれる畑を
訪れた。
今年は花が小さく、少ない。
摘みにきていた方と話した。

長過ぎる残暑、異常気象の爪痕でしょうね。

けれども、今年も
花を楽しませてくれた。

咲いていてくれて、ありがとう。

幸のような、優しい花。


読んでくださり、ありがとうございました。
保護犬に関心等がありましたら、
杉本彩さんの団体Evaのホームページを
ご覧いただくと良いかと思います。
現実の厳しい内容は事実、そしてだからこそ
動物に優しい社会に、と活動されています。

また、私の住む地域周辺で何年も
保護活動をされている団体さんがあります。
病気の子、雑種の仔犬、老犬の保護を
スタンスにされ、犬猫のみならず、馬や鳥、
魚などの動物たちにも愛護の気持ちを持ち、
できることをされています。
ある大阪の団体は柴犬を中心に
繁殖で酷使された子たちをレスキューして
います。医療費がとてもかかるし、
預かりさんも足りなかったり、食費、雑貨代
もかかります。女性の代表が皆と協力し合い
運営されています。

様々な団体があり、立派なホームページが
あったり、どこかの企業に一部の資金が
入る仕組みだったり、高い寄付金や
保険やフードの契約、これが何を意味するか、
調べて、考えてみてください。


お空で幸せに楽しく
体も楽に過ごしているよ。




有料150円 優しい物語🩷
優しい涙が溢れて癒されます。


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