母になった日
7月27日は娘の誕生日。
私は22年前のこの日に、初めて母になった。
8月中旬の出産予定日に合わせて家を建て、義両親を呼びよせて同居の予定でいたため、妊娠中に引っ越しという、今思えば無謀なスケジュールだった。もちろん引っ越し業者のおまかせパックでお願いしたのだが、引っ越す前に住んでいた家が貸家で、掃除や庭の片付けなどでなかなかの動きっぷりだったのだ。
もっとも、妊娠後期で普通はどんどん動いていいよと言われる時期ではあったので、私もおなかの張りと相談しながらガンガン動いていた。引っ越し業者の人に触って欲しくないものは自分で荷造りもした。
ところが、大きな誤算があった。その夏、梅雨の時期からとても暑かったのだ。今でこそ6月はもう真夏の暑さだが、30年前は梅雨寒というくらいで、羽織りものが必要だった。22年前も、長袖はいらないまでも、半そでで心地よく動けるくらいだと思っていたのだが…予想に反して35度近くまで上がる日が続いたのだ。6月下旬に引き渡しの家に引っ越すために、真夏の暑さの中動くことになった。
その結果、おなかの張りが頻繁になり始め、休みやすみでないと作業ができなくなってきた。でもおなかが張るだけで、体調はいたって快調。体重もコントロールできていたので、割と身軽な妊婦だったこともあり、エアコンを使いながら無事引っ越しを済ませた。とりあえず荷物を移動してしまえば、あとは8月中旬の出産予定日までに、ゆっくり荷物を整理すればいいよね…と思っていたのだが、そうは問屋が卸さなかった。
母のあまりの無謀っぷりに、ベビーが腹を立てたのか、33週の検診でおなかの張りが5分おき(つまり弱い陣痛が起きている状態)、子宮口も開き始めていたのだ。もういつ生まれてもおかしくないです、と言われてしまい、33週ではまだ出てきてほしくないので入院ですね、と宣告されてしまった。
そこからは24時間点滴、ベッドから降りるのはトイレだけ、という生活が始まった。もちろん病室の中にトイレがあるので、5歩歩けばすむ。まあ、ぐうたらな私には幸せと言えば幸せな時間だったが、引っ越した家には空けてない段ボールが山積み。夫はちょうど仕事が忙しく、自分の食事もままならないくらい。ということで、急遽義母に来てもらい、バタバタと新しい生活をスタートしたのだった。
正産期(妊娠37週)に入っておなかの張りが落ち着いたら、一旦家に帰っていいですよ、と言われたので、退院してかき氷と焼き肉を食べに行こう!と楽しみにしていたのだが…
張り止めの点滴を抜いた7月26日の翌日。27日の朝7時前には、ベビーが自分でお腹をパンチ!して破水。余程外に出たかったのだろう、助産師さんもびっくりなスピードでお産が進み、9時15分には娘は産声をあげていたのだった。
私を出産するときに丸2日かかった母が、これから長丁場だ!と病院の駐車場でおにぎりを食べて備えていたら、娘が生まれて一旦仕事に戻る夫に「うまれましたよ(笑)」と声をかけられてびっくりした、という笑い話をあとで聞かされた。
そんなせっかちで、早く外に出てきたかった娘、今はそんなに慌てて生まれてこなくてもよかった、と後悔しているそうだ(笑)
娘がおなかの中で居心地悪く感じるほど、無謀に動き回っていた母(私)は、今も娘から、仕方ないなぁ…というぬるい目で見られながら、あれこれ助けてもらっている。
娘も色々あった22年間だったが、今の私との関係は私から見ると『持ちつ持たれつ』。私のよき相談相手であり、遊び仲間であり、美容アドバイザーでもある。お互いいい距離感で支え合って行けそうな関係だ。
娘へ。
私たちのところに生まれてきてくれてありがとう。
私を母にしてくれてありがとう。
Hope you live as you live.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?