放射線治療 // キセキ8
この記事は、こちらのマガジンの記事です。
(前回までのあらすじ)
手術で部分切除した乳がんの病理検査を行い、確定したステージは1でした。残った乳房の組織にまだがんが残っている可能性があるので、これからそこを放射線で治療していきます。
放射線治療の内容
私が受けた放射線治療とは、乳房にまだ残っているかもしれないがん細胞の残党を、放射線でやっつけるものです。この治療を行うことで、乳房切除(全摘)と変わらない治療実績になるそうです。
私の場合、放射線治療の回数は合計20日で、所要時間は1回につき約10~20分程度でした。治療中の痛みなどは特になく、機械の上に横たわっているだけで終わります。
ただ、治療後しばらくしてから皮膚炎が発生しました。放射線を当てた右側乳房の皮膚が日焼けのようになり、乾燥して痛痒かったです。また、乳頭の薄い表皮が一時的になくなってしまい、内側の組織が露出している状態になりました。何かが触れるととても痛く、浸潤液もかなり出ました。
皮膚炎は先生に相談して薬を出してもらい、保湿して滑りを良くすることでかなり改善しました。さらに浸潤液は、専用のパッドを当てて対処しました。これらの症状はそんなに長続きはせず、ピークを過ぎたら落ち着いていきました。
職員さんの優しい心遣い
私の放射線治療の通院は、1か月近く続きます。そのため、期間中は病院にいる時間も多くなりました。
よく見ると待合室には、職員さんが持ち寄った本が置いてあることに気付きました。一緒に漫画も置いてあり、少し早く着いたときは、それを読んだりしていました。
看護師さんから聞いた話だと、待ち時間の読書を楽しみにしている患者さんもいらっしゃるようです。通院を負担に感じる患者さんも多い中、少しでもそれを和らげようとする職員さんたちの小さな心遣いが感じられました。
お会計もそれほど時間はかからず、スムーズに終わるよう工夫されていました。受付の方も優しく、毎回気持ちよく過ごさせていただきました。
このように、病院には患者さんに優しく寄り添う気持ちがあふれていました。治療中は小さなことにも敏感になるものです。それは、気になることだけでなく、嬉しいことも同様だと思います。小さな心遣いこそ、最高の贈り物であることに気づきました。
放射線治療も終盤にさしかかる頃には、不思議なもので、この生活が終わってしまうのが、なんだか少し寂しく感じるようにもなっていました。
仕事と治療の両立
私の場合、放射線治療の通院は20日間で、毎日平日の15:00開始でした。手術が終わったあと、約半月で私は職場に復帰をしていたのですが、その後の放射線治療のため配慮をしてくれた職場には、今でも本当に感謝しています。
当時フルタイム勤務だった職場には、平日午後に毎日治療が入ることを相談しました。そして、シフト勤務の部署へ異動させていただいたことで、この期間を乗り越えることができました。
平日は半日勤務でそのまま病院へ直行。休日はフルタイム勤務。足りない出勤時間は、溜まっていた有給休暇で相殺しました。
とはいえ、治療のスケジュールが決まるまでは、かなりシフト変更を発生させてしまいました。メンバーの皆さまには本当に迷惑をかけてしまったので、その恩はしっかり返そうと思っていました。
恩返しで仕事を頑張る
放射線治療が終わったあと、どうすれば職場で恩返しができるのか、改めて考えました。
そこで、病院での小さな心遣いがうれしかったことを思い出しました。私も、今すぐできる小さなことを積み重ねれば、感謝の気持ちを示せるのでは?
「難しいことではないけど、誰もやりたがらないこと」を進んでやる。みんなが不便に思っていることを改善したり、ナレッジをまとめたり、さまざまなタスクの整理や進捗管理をしたり、といったいわゆる業務改善のようなことです。
このとき注意したのは、私の自己満足で終わらないようにすることです。何かアクションを起こすときは、全員の意思を尊重するよう、最大限に配慮させていただきました。
みんなが幸せになる方法、略して「皆得(みなとく)」……これらも病院から学んだことです。
今日の音楽
EDEN KAI - モノガタリ
感謝の気持ちは、新しいキセキの入口へ私をいざなってくれました。
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