今日は昨日に比べて少し、寒い。 コーヒーでも飲もうか。 そう思って近くのカフェを探す。 検索結果の一番上に出てきたカフェにする。 店の評価はさほど高くないが、とにかくこの肌寒さから逃げたかった。 目的地に着いた。店内は空いていた。 席に案内され、コーヒーを注文する。 見るからに若い店員が手書きで控え、奥に消えた。 机の端に置かれた砂糖に目をやる。 ――砂糖を二杯入れなきゃ飲めないんだ そう言ってほほ笑んだあなたが愛おしかった。 子供だね、なんて二人で笑い
人はどの瞬間に“限界”を感じるのだろう。 私は今、“限界”なのだろうか。 確かに行き詰まっては、いる。 上司には毎日のように怒られるし、彼氏ともうまくいっていない。 おまけに友達とも喧嘩してしまい、LINEも途絶えている。 好きなことを仕事にしたはずなのに。幸せだったはずなのに。 どこで間違えたんだろう。 こないだまでできてたことが急にできなくなった。 それはまるで、コップの水が溢れたように。 水がいっぱいになっていたなんて気づかなかった。 静かに、しかし
「今日はこの曲にしよう」 一日の始まりは、好きな曲がいい。 好きなアーティストばかり詰まった、私だけのオリジナルアルバムから今の気分で選曲する。 それが片想いを女目線で綴ったこの曲だ。 ・・・そう、まさに今の私の心情とリンクする曲。 デートの待ち合わせ場所に向かう足が少し早くなる。 街ゆく人たちのイヤフォンの中では、その人の世界ができていると思う。 たとえ同じ曲が流れていようと、それぞれの世界は違うものになる。 歌詞の意味を考える人や、自分の思い出を重ねる人、
別れがあるから、出会いがある――― なんて誰が言い出したんだろう。 今の私にその言葉は響かず、降り出した雨が涙と比例して 強まっている。 「君は何も悪くないよ。すべて僕のせいだ」 ついさっき言われた言葉を思い出す。 言われた時にはショックと動揺で取り乱していたが、 浮気したのは向こうなのだから私は悪くない。 わかってはいても、浮気によって私という存在が否定された気がして悔しかった。 ああ、そうか。これは悔し涙なのか。 涙の意味を自己解決していると、どこかか