医療現場の混乱。日本が避けるべき事態と政策について
「人間の敵は、人間。」新世紀エヴァンゲリオンや、進撃の巨人から学び、私が個人的に恐れている世界が、現実に起ころうとしている。
ニューヨークの医療関係者が発した衝撃的な一言
「ここの部屋にいる新型コロナウイルス肺炎患者のうち、誰か一人死ななければ、次のベッドが空かない。」
これは、ニューヨークの病院に勤務する医師が発した言葉だ。彼女は、「とにかくベッドが足りない」ということが言いたかったのだろうか。そうだとしても、「誰か一人死ななければ」という言葉は、通常の状態の医師であれば発することはないはずである。
この医師が話したことが現実なのであれば、冒頭に述べた「人間の敵は、人間」という事態が迫っている。誰かが死ななければベッドは空かないし、奇跡的に回復をした患者によりベッドが空いたとしても、患者は増え続ける。ベッドが空かなければ、誰かが死ぬ。ベッドや治療を求めて患者が暴動を起こしたら…?
たった1人。たった1人でも行動に起こしたら、誰かが加わる。誰かが仲裁に入る。仲裁に入ったものを責めるものと守るもの。そこでまた口論が起きる。もう、止められない。そして、日本はこれを避けなければならない。
東京都の現状と方針に対して、不動産的観点から
週明けにはベッドが残り100床と報道されていたが、2日、小池都知事によると、新たに700床確保したそうだ。そして、都の方針として、今後は民間のホテルを借り上げるなどして調整する予定とのこと。これが実現した場合、患者の命を救うことにつながる一方で、事態収束後のホテル業界は相当の打撃を受けることになるはずだ。
少し不動産業界の人間からの話をすると、今後都の借り上げに応じるホテルというのは、オペレーター(運営)がギリギリの状態のホテルだ。目先の収入は確保できても、今後どうするのか。一体誰が「訳ありホテル」に来るのだろうか。単価を下げるしかないだろう。東京都はそのリスクに対する補償などはしているのだろうか。条件はあるのだろうか。そして、各ホテルに何年何か月の契約で何億円を費やすのだろうか。ぜひ契約書を見てみたい。
大胆な措置。他に案はなかったのか
新型コロナウイルスの影響を受けて、某大手飲食チェーン店、大型ショッピングセンター、アミューズメントパークなどが今週末から1週間程度の臨時休館を決めたそうだ。彼らは自主的に、経済的なリスクを負ってでも判断した。人件費、風評被害などもあるだろうが、賢明な判断だろう。
この状況で、国はなんとマスクが各世帯に2枚届くそうだ。(誰も頼んでいないよそんなもの。)1世帯に2枚。3人家族のところはどうするのか。そもそも矛盾ばかりだ。
まずもって、全員が対象になっていない。次に、単身者世帯が多い日本では、春休みから続くこの状況で実家や地方に避難していることも考えられるが、誰もいない家に何枚のマスクが届くのだろうか。また、セカンドマンションやゲストルームとして所有している部屋も存在する。最後に、「洗えば何度も使える」のであれば、1人1枚配布すればよかろう。
平成31年の統計によると、日本の総世帯数は約59,000,000件。1枚つき200円を要するそうなので、この政策にかかる費用は200億以上。1人1枚配ったとしたら、約1億2500万人に対して約250億。(さほど変わらないじゃないか!全員に1枚配れ!と言いたいが、そういう問題ではない。)200億もあるのなら、この状況で融資がつかずに買い手のない新築マンションやホテルを一棟買い取って、ベッド数の確保にでも使ったらどうなのか。とにかく、他の案が出ることを期待する。
冒頭の話に戻ると、「布マスク」ごときで、「俺にもよこせ!」「私のが先だわ!」なんて人間同士の暴動が起きるとは想像しがたいが、場合によってはそれも考えられる。国民の望んでいないことはやらなくていただきたい。(国民も、アベノマスクなんて楽しむんじゃない。)
私の個人的な見解だが、経団連に所属している大手企業の社員は、「早く緊急事態宣言をだしてくれ」と願っているはずだ。中小企業や個人事業主の判断は、生活がかかっている人も多いため苦渋の決断かもしれないが、それでも中には感染を恐れながら外に働きに出ている人もいるはず。影響力のある大企業が率先して行動できるようにするべきだ。
各業界の意向がなるべく早く固まることを願う。
SACCI
こちらでも記事を書いています。(英語・日本語)