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サトウキビ Ni27

農林27号 (母本:NiF8 父本:RF79-247)

生い立ち

 1995年で産まれ.1996年に種子島で播種された.1998年に系統名KR96-93と命名された.2009年に品種登録され,Ni27と命名された.夏植え向きの茎重型品種で主に沖縄県の宮古島や八重山地域に栽培されている.これを書いている現時点ではNiF8を追い抜き,日本で最も多い品種である.実は台風に弱く,干ばつに弱く,黒穂にも負けてしまう事があるため弱点が多い.

時代背景

 2000年に日本で初めてとなる沖縄サミットが開催された.それに先駆けて1996年は那覇空港の新国内線ターミナル・沖縄都市モノレールおよび沖縄自動車道豊見城東道路などが着工・整備され都市化が進んだ.その裏でかつてNiF8を植えていた地域はサトウキビ畑から宅地へと姿を変えており,NiF8が他の品種に置き換わったというよりもサトウキビが衰退したといっても過言ではない時代の始まりである.
 そのような時代にあっても低単収地域や夏植え地域には新品種が導入されては定着したり既存の品種に戻ったりを繰り返しており,その時流行った品種がNiF8よりも多くなるという事が起き始めていた.

草型と特徴

 背の高い太さが特徴的なサトウキビである.未展開葉は直立し,先端だけが弧を描くように横に倒れ,先端は横向きあるいは下向きになる.展開葉は直立と水平の中間に伸長し弧を描くように曲がって先端は下向きになる.分げつはやや斜めに伸びる.葉が多い位置は最上位展開葉のやや下あたりになる.冬季に下位葉が枯れるのが早い



以下,参考にならない勝手な考察
 LAIは葉数・茎数に依存する.だから密植すると容易にLAIを増やすことが出来る.通常株出しになると新植した時よりも茎数が増えるので株出しにおける茎数のコントロールが出来ないと圃場はいずれ過密あるいは疎植状態になる.しかしNi27は分げつがあまり増えない.これは新植時に狙ったLAIを確保するための葉数・茎数をコントロールしやすくなる形質である.分げつに頼る方法もあるが残念なことにNi27は根が弱いのか発芽力はあまりよろしくない.だから茎が細くならない程度に密植すると株出しでも使える.
 枯れ上がりといって,冬季に下位葉が枯れて葉に残っていた養分が茎に移動する現象がある.これはどのサトウキビでも起こる原種なのだがNi27はこれが早い.普通,多収になる品種は糖分が成長に使われるので糖度が上がりにくい.しかし枯れ上がりが早いので生長に使われず葉に残っていた糖分で糖度を上げるので早期高糖となっていると考えられる.
 NiF8以降で日本で一番多い品種となった要因について少し考察したい.理由は2つあると思っている.単収が高いと機械による収穫効率が高い.だから機械刈り向きだった,これが最大の要因だと思っている.NiF8の単収が低いわけではないのだが,一番多い品種という事は平均を作っている品種という事である.Ni27はNiF8より単収・糖度が高かったので平均値を底上げすることが出来た.
 もう一つは栽培面積の広い地域で主要な品種である,という事だ.NiF8沖縄本島と種子島で多かった.種子島ではマルチのいらない品種に置き換わりつつあった.沖縄本島ではサミットの影響で島全体が活性化していく中でサトウキビが減ったのだ.そのためサトウキビの栽培面積が多い地域は宮古・石垣へ移っていたのである.その宮古で最も多い品種が夏植え用品種,Ni27であった.それから鹿児島・大東島など各地へ普及する頃には日本1多い品種となったのである.これが2つ目の理由である.このことから考えられるのは,今サトウキビではない畑に合った品種は何か,という事ではないだろうか?沖縄本島に合う品種をこれから選ぶべきである.


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