ぼくらが手にしている 富は見えないよ(シングルマザーとお金の話)
先日、「会社を辞めて、これから新しい仕事をしていこうと思っている」というシングルマザーの方とお話する機会があった。
話しながら、「これから、どういうふうに仕事をしていくか」ということについて話すとき、わたしは「シングルマザーということと、それは、関係ないよな」と思っていた。
「シングルマザーだから」時間がなくてつらい
「シングルマザーだから」お金がなくてつらい
「シングルマザーだから」無理しないといけなくてつらい
ほんとうにそうかな?と思う。
「シングルマザーだから」ではなくて、具体的に「仕事につかう時間がどれくらいか」「最低限必要な収入はどれくらいか」「休みたい期間や曜日はいつか」などを明確にして、それに合わせた仕事を探すか、つくるか、だけだと思う。
なんでつらい前提なの? それ、シングルマザー関係ないよ!と思う。
「やりたいことをしたい、好きなことを仕事にしたい、だから時間もお金もいりません」というわけにはいかないのは、なにもシングルマザーだけではない。
「好きなことを仕事にしたい」ということが優先順位の最重要事項ならば、お金も時間もいらないかもしれないけれど、シングルマザーが実際にはそれよりも「時間」や「収入」や「お休みの自由」のほうが重要だ。
考えるときの入り口が「好きなことを仕事にする」だと、すぐに「でも」の壁に当たってしまう。
「でも、こどもとの時間がとれない」「でも、それでは生活できない」と。
そこだけ見るとシングルマザーの苦労のように思うけれど、はじめから必要なのは「時間」「収入」「お休み」だとわかっているならば、考えるときの入り口もそこからのはずだ。
「これくらいの時間をつかって、これくらい稼げて、これくらい休める仕事はなにか」だけを考えるといい。
逆に「こういう仕事しかできないから」と時間や収入をあきらめるのも、同様に優先順位が「自分のやったことがある(または誰にでもできる)仕事をする」がいちばんだということになる。
そんなきびしいこと言わないで!鬼か!と思われるかもしれないけれど、能力や才能がどうこうの前に、「そうすると決める」ということがほんとうに大事だと思うし、そこにはシングルマザーも、妻子を養うファーザーも、関係ないと思う。
多少のことは自分がガマンする、と決めてやることも、もちろんあると思う。
だけど、一度は自分にほんとーうにわがままに、全希望を取り入れた優先順位を知ってから、ガマンするかどうかを決めたらいいと思う。
何度も言うけど、それは「シングルマザーだから」ガマンするのではなくて、「自分で決めた」ガマンなのだと。
ちなみにわたしは、もちろん収入が最優先事項で(ないと死ぬし)、会社員のときのお給料では、母と娘を養うには足りなかったので、しかたなく起業した(それ以外の収入を増やす方法がわからなかった)。
その「足りない」というのも人によるけれど、わたしの場合はこう考えている。
学力がないとできないこと、お金がないとできないこと、それぞれに多重の層があって、どこを選ぶかは自由だけど、「お金がたりない」が子供があきらめる理由になるのは、わたしには荷が重い。
わたしがこどもに「人のせいにするな」と言うからには、わたしが選べる環境をつくらないといけないな、と思っている。
わたしは、お金について考えることはとても弱くて、今は、お店の売上げやその他の収入と、お店の経費と生活にまつわる出費をきっちりわけて考えると、複雑で、お金があるんだかないんだかわからなくなるので(わたしがバカなだけですが)、全部を「株式会社オレ」だとして見ている。
そうじゃないと、自宅とお店と事務所と3カ所に毎月家賃を払うのも「わたし、何でこんなことになってるんだろう」とバカらしく思うし、旅行に行くにも「このお金はほんとうに自由に使っていいものなのだろうか」と不安になってしまう。
だから、子供の学費も、旅行に行く費用も、お店の材料費も、「必要」とする。必要なのだから稼ぐしかない。稼ぐ方法を考えるしかない。
書いてみるとほんとうにバカみたいな方法ではずかしいけれど、わたしなんてこんなもんだ。
「だってお金がないから、しかたない」とあきらめるか、「だって必要なんだから、しかたない」とあきらめないか、のちがいだけ。
それでは、やりたいことをあきらめるのか、というと、それがそうでもない。
このnoteを書くのも、誰にも頼まれていないし、もちろんお金にもならないけれど、あえて自分に仕事っぽく課してやっている。執筆ごっこだ。
趣味でやりたいだけのことを仕事っぽくして、お金をもらっている仕事を遊びっぽく軽くしていって、境目をごちゃまぜにして、自分をだましたい。
そうしたら「やりたいこと」と「仕事」の区別がなくなって「やっていること」だけになるから。わたしはそうなりたい。そうする、と決めている。