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シングルマザーのクッキー屋の話【仕事とわたしのこと③】

胃潰瘍と胆石の治療を終え、元気になってきたけど働くのが怖いなと思っていたとき、友人が働く某チョコレートショップからとにかく誰でもいいから手伝ってほしいというお呼びがかかり、リハビリだと思ってお手伝いに行った。
そのお店は開店一年目のバレンタインの時期で、とにかくグチャグチャで混乱しているところにポンと飛び込んだ。
そのときにわたしがしたことは、都内のデパートのバレンタイン会場で出店中だった各店の不必要な派遣やアルバイトを整理して勝手に帰したり、在庫を把握できる仕組みを作って各店同士でやりとりできるようにしたり、現場の愚痴を聞いて問題点を洗い出して本店の社員たちに報告して解決したりすることだった。
誰にも頼まれていないけれど、目の前に問題が山積みだと放っておけないお節介魂がフルに稼働した。
オープンしたばかりでルールを作る間もなく、生産を追いつかせること以外の仕組みが後回しになってしまっていたのがわかり、とにかくやるべきことが山のようにあった。
少なくとも私の目にはそれが見えていたので、社長に「このままここで働きませんか」と言っていただいたときには、今後この会社で必要だと思う仕組みや自分がやろうとしていることをその場でペラペラと話して驚かれた。

当時21歳、年齢は関係ないなと今になっても思う。
自分の性質(お節介)、得意分野(お節介)、求められていること(基盤がないので指示がなくても考えて行動すること≒お節介)がピタリと合っただけだと思う。そしてせっかちが故に誰かの決めたやり方やペースを疑ってしまうクセで嫌がられる心配がなかった(ルール皆無の無法地帯だった)ことや、製造を追いつかせることが第一優先の中それ以外の仕事をやってくれる人をありがたがって歓迎してくれたことも私をノせた。

ここでわかったことがまたひとつ、自分は相当なお節介で、それを必要とする場があるということ。
これなら怒られるどころか褒められるとわかった。

ようやく仕事と自分の目が合った。

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桜林 直子(サクちゃん)
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