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オレストーリーは突然に

数年間かけて歩いてきた道が、だんだん道幅が広くなってきて、気がつくと、いま目の前には、広大な荒地がひろがっている。
いつのまにかそれは道ではなくなっていた。そのことにうすうす勘づいていながらも、確信が持てずにいたけれど、いま、確実に視界がひらけたと感じている。


ここにきてわたしは、仕事について、職業というよりも時間の使いかたについて、改めて本気で考えている。


12年間はたらいた会社を辞めるまでの、2009年から2年間も同様に、わたしは、仕事について、職業というよりも手段や方法として、本気で考えた。

どうやったら働く時間をみじかくしても生活費を稼げるか、夏やすみをとれるか、あーちんの居場所をつくれるか、じぶんのすきな時間にはたらけるか、その4つの最優先希望をあきらめずに、真剣に考えた。

その結果、それを叶えるための手段としてのクッキー屋をはじめた。

思惑通り、働く時間はみじかく、生活は一応できて、夏休みもしっかりとって、あーちんの居場所をつくることもできた。


はじめてから5年が経とうとしている。
手段としてはじめた仕事なので、その先の希望もビジョンもはじめからもってはいない。ただし、続ける手段や方法はいくらでもある。


でも、それでいいの?
楽がしたかっただけなの?
ぼくをだましてもいいけど
自分はもうだまさないで

と永積タカシが耳元でうたう。


わたしは昨年の12月に、突然、このnoteで今までの記憶や記録や感情を書き出した。

「どうして書きはじめたの?」といろいろなひとに聞かれるけれど、自分でもよくわからなかった。ただ、書き出さないと先に進めないという直感があった。出さないと入ってこないから、デトックスだと思って書き出した。

そうしたら、ほんとうにいろいろな人に会えた。書いたおかげで、何十人ものひとにあたらしく出会えた。
そして、今までのできごとや人や景色が、見え方が、すこしずつ変わってきた。いいとか悪いとかではなく、ただ変わってきたのがわかった。

それが、道がすこしずつひろくなってきた原因だと思う。

道だと思っていたものが、道ではないことや、自分だけだと思ってた視界は、わたしの他にも見えている人がいることがわかった。


そんな段階を経て、いまわたしの目の前には荒地がひろがっているのだけど、荒地を目の前にして、わかったことがある。

わたしは今、「東京オレストーリー」の台本を書いている。

それは、昨年の12月から、実はもう書きはじめていた。

はたらくことについて、今までしてきたことについて振りかえり、何がいやでどうしたいのか、どうしてきたのかを書いてきて、その時間軸が、いま現在に追いついたところだ。

わたしがいま考えていることや、決めることは、きっと後から「あの時のあれが!」という(伊坂待ち)大きなポイントになるのだと思ったら、考えるのがとても楽しくなった。まさに台本のなかで大きめな転換期を、執筆中なのだ。


肝心の決断にはまだ至らないし、なにができてなにができないか、可能性を行ったり来たりしているのだけど、わたしが、脚本家として、今ひとつだけ大事にしているのは、キャストだ。

今までは、手法と勢いとビギナーズラックでとにかく進んできたけれど、これからは、誰といっしょに働いて、誰といっしょに時間をすごすか。そして、誰といっしょにしあわせになるか、本気で考えようと思っている。


そんな「東京オレストーリー」
次回、乞うご期待ください。


つづく

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桜林 直子(サクちゃん)
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