不満は財産、不安は鍵。
これもまた会社員時代の話なのだけど、わたしは前回のnoteに書いたように、お節介で解決魔なのと、在籍期間が長く年下のスタッフばかりだったので、社内で保健室のおば…おねえさん(20代だったし!)のような役割になることが多かった。
「なにかあったらこの人に言えばいい」と頼ってくれることは、うれしくもあり、気がつくとどんどん仕事が増えるという問題もあり、「解決してあげたいけどこれキリがないな!」という感じだった。
キリがないので、その対策として、相談に来たスタッフが「聞いてくださいよ」と話しはじめ、なんとなくなんの話なのかわかった頃に、わたしはいつもいったん話を止めて「それは、グチですか?」と質問をした。案の定キョトンとされるので、続けてこう説明する。
「それがグチなら聞き流すけど、もし解決したいなら、言い方を変えて話してみてほしい。○○がイヤだ、○○ができない ではなくて、△△がしたい、できるようになりたい(けど○○が問題だ)、という話に言い換えてください」
不満を、内容はそのままで「こうしたい」という希望に換えられるものは解決できるけど、換えられないものはただのグチだ。(換えられないものは「〇〇さんがきらい」など)ただのグチは友達に聞いてもらえばいいので、わたしは聞かない と決めていた。保育園のお迎えのタイムリミットがあるので時間ないし。
「不満なんて全部聞く必要ない」と言われることもあったけど、わたしはそうは思わなかった。不満はひっくり返せば要望で、「もっとこうしたほうがいい」という意見は会社の財産だからだ。「不満」は字のごとく「満足」が不足しているので、不満をうまく掘ると満足への道につながる。
同じように「不安」は「安心」が不足しているので、「なにかが不安だ」という相談の時は、具体的に何が不安の原因なのかを一緒に探る。「この仕事を続けられるか不安だ」という話を、きつい仕事だから体力が不安なのか、お給料が安いからお金が不安なのか、長時間労働だから恋愛できないのが不安なのか、その原因を突き詰める。
「とにかくただ不安」という状態にいると、自分では原因がわからず、先も見えない、不安が不安を呼ぶ不安スパイラルに陥ってしまうので、「これが不安なんだね」と見せてあげるだけでも本人は安心できたりする。原因がわかればそこに向けて何をしたらいいかアドバイスもできる。不安は、むしろ行きたい方向が見える鍵になる。
かくいうわたしはというと、生粋のイチャモニストなので、おそらく社内の誰よりもたくさんの不満があった。はじめのうちはその不満を社長に話してみたりしたけれど、結局のところ「ここはわたしの会社ではないので社長の考えを優先する」という結論に至る。自分が経営者になってみて振り返ってみても、しごく当たり前の結論だ。
では、その不満をどうしたかというと、他のスタッフに話していたように「○○がイヤだ」を「△△したい」に変換し、リストに入れて貯めていった。そして30歳になった年に、社長に「わたしならこうするのにな、というリストがいっぱいになったので、それ、自分でやることにした」と話して会社を辞めることにした。長年の不満は貯金のように「あとはやるだけ」の財産になっていた。
不満は溜めるなとも言われるけど、「こうなると満足」に変換して貯めると財産になるし、不安は意味がないとも言われるけど、「こうなったら安心」という道への鍵になる。
目についたものすべてに文句を言うのも才能。不満も不安も使い道だよって話。
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