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シングルマザーのクッキー屋の話【仕事とわたしのこと②】

製菓の専門学校で勉強した先にケーキ屋さんで働くには、技術的な修行の場として味やセンスで選ぶだけではなくて、どんな規模の会社があってその仕事内容がどんなものか、業界の中の仕組みがどうなっているのか知りたかったけれど、先生は先生という職業であって業界の仕組みについて詳しいわけではないから、納得するほど知ることはできなかった中で、周りの同級生が個人店希望とかホテル勤務希望とかなぜ選べるのか全くわからなかった。

しかし父が倒れ、最短距離で仕事への道を探さなければいけなくなって、そもそも仕事とはなんぞやという模索の猶予時間がゼロになり、ごく狭い選択肢の中から(Hanakoのケーキ特集とかで選んだ)とある個人店のケーキ屋さんで働いた。

アルバイトは何種類か経験があったけど、役割分担と立ち位置がラクだったそれとは違い、会社ってなんだ?新入社員の立ち位置どこだ?先輩こわい!怒られたくない!怒られたくない!!怒られたくない!!!と、とにかく毎日ビクビクしていた。
その反動で先輩の目の届かない倉庫へ行く用事があると、あらゆる種類のお菓子を勝手に食べていた。チョコレートは1個食べたらバレるからと1列10個食べて結局バレたり、ゼリーはスプーンがないから口に流し込んで一気に飲んで首もとにこぼした汁の色で何味のゼリーを食べたかまでバレたりした。
そんな新入社員は怒られて当然なのだけど、怒られていると周囲もこいつは怒っていいキャラだという空気になって連鎖し(被害妄想)、あいつはダメだという期待になぜか応える形で本来できることもできなくなって、とにかくパニックだった。
その結果、一番の繁忙期に胃潰瘍と胆石を患いリタイヤした(本当に大迷惑)。

わかったことはひとつ、怒られるのがイヤだということ。

ケーキがどうとか仕組みとか規模とかひとまずいいから
怒られずに働くにはどうしたらいいか。
テーマがひとつ見えた。


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