なぜクッキーなのか ①【続・シングルマザーのクッキー屋の話】
昨年末から一気に書いた「シングルマザーのクッキー屋の話」続編。
お店をはじめてもうすぐ5年になる今、ちょっとふりかえってみようと思ったのと、「クッキー屋をはじめるに至るまでの2年間、どうやって考えたのですか?」と聞かれることがあるのだけど、うまくお返事ができなかったので、あらためて考えてみた。
コーチングにおける「GRROW」というのがある。
Goals :目標の明確化
Reality :現状の把握
Resource :資源の発見
Options :選択肢の創造
Will :意思の確認 計画の策定
これはあとから知ったことなのだけれど、今思うと、上記の行程を自分に課していたように思う。この5項目に沿って、わたしがしたことを思い出して書いてみる。
① Reality :現状の把握
本来は「目標の明確化」が先なのだろうけれど、わたしの場合は順番が逆だった。現状の不安や不満が明確にあったり、やるべきことが見えていて独立を決めるのであれば、目的や目標(独立や転職など)を決めることが先なのだろうけれど、わたしの場合はいちばんはじめにきたのは「疑問」だった。
「会社がきめたお給料が自分のできることの評価や価値って、ほんとかな?」「お金を稼ぐには犠牲やがまんが必要だって、ほんとかな?」「やりたいことがみつからないとダメだって、ほんとかな?」
そしてなにより大きな疑問は「シングルマザーだからひとよりたくさん働かないといけないって、ほんとかな?」という問題だった。
「ほんとかな?」という疑問のなかには「それってウソじゃないの?」と疑う気持ちが大きくあって、そのこたえを知りたくて考えはじめた。
それらの疑問をきっかけに、まずしたことは「社会や世間の問題ではなく、徹底的にじぶんについて把握する」ということだった。
「で、どうしたいの?(目標の明確化)」に行きつくために、まず、仕事の視点だけではなく「自分の人生において今の時点でぜったいに譲れないものはなにか」をふるいだした。このとき、「将来」とか「もしも」ではなくて、「今の時点で」というのがポイントだった気がする。すぐに行動するのに「もしも」はむしろ邪魔になるし、「将来」はついきれいごとが勝ってハードルを上げることになってしまう。
あたまの中で、紙の上で、優先順位のトーナメント戦をくりひろげた。誰かの評価を一切考えにいれず、ほんとうに自分が望んでいるものがなんなのかを知るための作業をくりかえした。
ひとに相談されるときにも、やはり「自分がどうしたいかわからない」というのがはじめの壁になっていることがおおいのだけど、先を急いで、それがわからないまま、アイデアや「やりたいから」という理由だけで進めると、道の先でまた同じ壁があらわれるので、いちばんはじめにこの「自分がほんとうに譲れないものはなにか知る」という作業を端折らないことをおすすめしている。
これはあとで変更もできるし、時間がたてば状況もかわることもわかっているので、「こんなことがいちばん大事じゃだめだよね」などと怖がらずに、正直にトーナメント戦をおこなってほしい。
わたしは一流のイチャモニスト(イチャモンをつける視点の持ち主のこと。わたしの造語)なので、現状の問題からそれを導きだす方法をとった。
以下がわたしのつけた現状へのイチャモン(ダメ出し)上位4個だった。
・会社員のため、毎月の固定給をいただいて生活ができている。わが家の収入源はわたしの収入だけなので、ひきつづき生活費だけは稼がないとまずい。
・会社員のため、仕事の量にかかわらず時間や場所にしばられるので、仕事以外の大事なことに時間をつかうことがむずかしい。(性格的にも同じ場所にいなければいけないのが苦痛でもある)大事なこと楽しいことを犠牲にし続けるのはまずい。
・娘のあーちんが小学生になって、夏休みが40日間ある。わたしは3日間しかとれない。6年間このままではまずい。
・いまの小学校の様子をのぞき見たところ、ひとりひとりの個性をのばすような仕組みはない。親以外に褒めてくれる大人を、学校の先生には望めなさそう。6年間このままではまずい。
② Goals :目標の明確化
日夜くりひろげられた激戦の結果、わたしの優先順位の上位4個がきまった。それはそっくりそのままやるべき目標になった。
・生活費を稼ぐこと
・時間を自由につかえること
・あーちんといっしょに夏休みをとること
・あーちんに学校以外の居場所をつくること
目標が決まったら、この4個を実現するために、さらに考える。
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