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風のにおいとか歳時記とか☆つまり俳句☆
まだ年長だったか、小学校の低学年だったかもう定かではないけれど、ある朝起きて「今日から秋か~」とつぶやいたことがあります。窓を開けて寝ていたので外の空気が流れ込んできたのだと思います。そのあと親に確認したら本当に立秋だったのか、このときとても感動したのを覚えています。
今年の春も、やはり風の匂いから感じました。
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さて『新版角川俳句大歳時記』、全巻揃いました♪
春が発売されるとき、さすがに一か月もない『新年』だけは手が出ないな・・・と思っていました。一冊、一冊がわたしにとっては高額です!
ところが夫が「でも新年しか使えない季語があるんでしょ!?新年でしか表現できないことが・・・」とちょっと忘れてしまったけど(笑)、びっくりするくらい熱弁してくれたのでした。
いつも迷っていると背中を押してくれる夫に感謝です♪
そして「新年」の歳時記は確かに元旦から二十日ごろまでと短いのですが、新年の索引と総合索引があり、けっこう便利なのです!
歳時記にはそれぞれの季語に説明、本意などが載っていて、季語の元となった古典が載っていたりするのですが、古語はほとんど読めません(笑)。
わたしは文語を使って俳句をつくることがほとんどですが、
俳句で使われる「文語」というのは純粋な「古語」ではありません。
我々は、古語を使って俳句を詠んでいるのではなく、あくまで、今の言葉の感覚で、ただし表現上は文語文法に則って俳句を詠んでいるのです。
なので、平安時代っぽい文章(笑)は一応つら~っと目を通してから、本意を読みます。あとは例句の確認。古典俳句から現代俳句までずらっと並んでいるので、どのような使われ方をしているか確認したりします。
例えば春の今なら『鳥雲に入る』という季語があります。これは長いので『鳥雲に』という表現も可能です。この場合、圧倒的に下五に置いているのが分かります。上五に置く時と下五に置く時の使い方の違いを見ているわけです。
ちなみに意味は「日本で越冬した冬鳥が、北方の繁殖地へ帰ってゆくときのさま」『鳥帰る』とほぼ同義なのですが、微妙な違いを探ることが本意を探ることになります。
同じように『百千鳥』という季語があるのですが、春になってやってきた多種類の小鳥が鳴き交わすさまであり、個体を指しているわけではないので「景が見えない季語」になります。すると、
「百千鳥があそこにいたよ」みたいな句は本意から外れているというわけです。
創作をする人にとって、この「景が見えない季語」について考えることって、すごく面白いと思うんですよ。
例えば、『立冬』(もちろん今なら立春で考えても♪)
「冬」ではなく、まさに立冬の日、その日一日のことを指しています。
みなさんが「冬が来た」と感じる瞬間はどんな時でしょう?
イメージではなくて。ここが大事なのですが、
人それぞれ違うと思います。そしてそれは特別なことじゃないと思います。
それを十七音でまとめると俳句になります。
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秋くらいから俳句を載せていなかったので並べてみたら、ありがたいことに結構ありました(笑)。
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俳句界 10月号「雑詠」
鈴木しげを先生選 秀逸
鵜飼火に風折烏帽子透けにけり 月石 幸
長良川の鵜飼を一度だけ見たことがあります。
ライブハウスに通っていた頃、ライブのない休日にもよく同い年くらいのバンド関係の友達と集まって遊んでいました。ある時その中の一人が企画してマイクロバスを借り、みんなでわいわい遠足気分で長良川へ。そして屋形船で食事をしながら鵜飼の様子を見物しました。え?もちろんその時の句ではありません(笑)。
西池冬扇先生選 佳作
滴りや崖下走る黒き貨車 月石 幸
角川俳句10月号 令和俳壇「雑詠」
朝妻 力先生選 秀逸
対岸の観覧車の灯月涼し 月石 幸
星野高士先生選 佳作
この藪に古墳ありけり蛇苺 月石 幸
俳句ポスト 365 「原爆忌」中級 並
原爆忌土へも海へも還らぬ 月石 幸
俳句ポスト 365 「芒」中級 並
バイト等は遠き芒の駐車場 月石 幸
角川俳句11月号 令和俳壇「雑詠」
星野高士先生選 佳作
かたつむり殻へ瀬音を閉ぢ込めり 月石 幸
五十嵐秀彦先生選 佳作
薔薇香るボーダー柄は持つてない 月石 幸
俳句界 11月号「雑詠」
加古宗也先生選 佳作
それぞれに家庭のルールひなまつり 月石 幸
角川春樹先生選 佳作
前カゴのカバーは自作あつぱつぱ 月石 幸
俳句界 12月号☆兼題「夢」
名和未知男先生選 佳作
初夢を最前列で見てをりぬ
「雑詠」
稲畑廣井太郎先生選 佳作
古賀雪江先生選 佳作
雷鳴にカーテン閉める子の真顔 月石 幸
俳句ポスト 365 「鰯雲」中級 並
保護猫を迎えに行く日鰯雲 月石 幸
俳句界 1月号「雑詠」
加古宗也先生選 秀作
西池冬扇先生選 佳作
登山道民家の庭を通りけり 月石 幸
角川俳句1月号 令和俳壇 題詠「朱」
夏井いつき先生選 佳作
履歴書の朱印の細き新社員 月石 幸
「雑詠」
小林貴子先生選 秀逸
夜桜の買ひ出しといふデートかな 月石 幸
俳句ポスト 365 「立冬」中級 佳作
まち針に青き花あり冬来る 月石 幸
おウチde俳句くらぶ写真「小雨の銀座通り」《人》
予備校を終へて階下の鯛焼き屋
ツアバンの機材積み込む冬の月
俳句ポスト 365 「落葉」中級 佳作
空堀を覗けば猫と落葉なり 月石 幸
ちなみにこの空堀は名古屋城のお堀です。名古屋城のお堀は今も水がある箇所と、空堀になっている箇所があります。ちょうど仕事で法務局へ部長と二人でお出かけした帰り道に見かけた景です。城のような県庁などが並ぶあのあたりは車通りは少ないけれど道幅がとても広く、その先の久屋大通の並木道のベンチにはサラリーマンがお昼寝をしていたりと、ゆったりとした場所です。
角川俳句2月号 令和俳壇「雑詠」
井上康明先生選 秀逸
春愁や仕事帰りの水族館 月石 幸
朝妻力先生選 佳作
運動会黄色の靴と靴下と 月石 幸
角川俳句 2023年2月号付録「季寄せを兼ねた 俳句手帖 春」掲載
梨咲くや樹下に逆さの酒ケース 月石 幸
俳句界 2月号 「雑詠」
今瀬剛一先生選 秀逸
薔薇の闇重ねたるまま枯れゆけり 月石 幸
辻桃子先生選 秀逸
稲滓火やじわり満ちゆく黒き波 月石 幸
最後までお読みいただきありがとうございます♪